誰かさんが殴り書いた落書きに無理やり物語をつけてみるの巻
2007年 09月 21日
誰かさんからの挑戦状
結果
ガイノジ
日常生活において、時たま意味不明の問いを投げかけられる機会がないとは言えない。
「ガイノジって知ってるか?」
「なんすか、それ」
はじめて聞く単語だ。先輩の解説によると、最近噂になっている、いわゆる都市伝説というものらしい。
「なんでも、クロワッサンを食べた人の夢の中に出てくるらしくてな。出会ったやつに問題を出してきて、答えられないとずっと夢の中に閉じ込められちまうらしい。だから、ガイノジには気をつけたほうがいいぜ」
先輩はめちゃくちゃ真面目な顔をして語っていた。ところで、不思議なことがある。目の前にいる先輩は後輩だ。何で後輩が先輩なんだろう?
辺りを見回すと、薄い霧が立ち込めていた。草木が茂り、大きな池が見える。蓮の花が水面に咲き誇る。その情景に見とれている間に、先輩だった後輩はいなくなってしまった。この辺りになると、大体状況が飲み込めてくる。僕は既に夢の中なのだろう。
よって、先日別れた彼女が地面の中からドリル回転で飛び出してきたとしても、なにも驚く必要はない。ただ、ぼくが病んでいるというだけだ。
「ヘイ、ガイ!カモン!コッチコイ!」
なぜか片言だが、やっぱり可愛いな。我ながら未練たらたらだ。
「オーケーオーケー、アイムファインサンキュー。エンヂュー?」
「何言ってんの?はやく行こうよ、映画始まっちゃうよ」
「ああ、ごめんごめん」
彼女の後を追って、車を降りる。僕たちは、感動の名作と評判の『ゴリラ対メカゴリラ』を見に来たのだ。あまり純愛映画は趣味じゃないのだが、まぁ、彼女が見たいというのだからしかたあるまい。
映画館の中に入ると、ちょうど予告編が始まったところだった。席について、ポップコーンをぱくつき始める。隣では彼女がTボーンステーキにむさぼりついている。もうちょっとマナーというものを考えてほしい。
ブザーの音が鳴った。
画面に映った世界には、太陽と月が同時にある。夜と昼が混ざり合っている。草がある。木がある。巨木のふもとに誰かが寝ている。(あれがガイノジだ)僕は直感した。
僕はそいつに近づいて言った。
「問題に答えればいいのか?」
ガイノジは何者なのだ?近づいてもよくわからない。人か?犬か?クロワッサンか?そいつは僕の声に反応し、ゆったりと身を起こす。
「君にその気があるのなら」
「やるしかないだろう。出せよ、問題」
「1+1イコール?」
「2」
「田んぼの田だ」
「おい、ちょっとそれはな……!」
「本当はね、問題に意味なんかないんだ。順番なんだよ」
なんてこった。
「それじゃ、先輩……っぽい後輩は嘘をついていたのか?」
「決まっていることでも、回避方法を見つけたがるものだろう?あれは君のあがきだよ」
「ああ、そうか……大体わかった」
「それじゃ、そろそろ僕は行くよ。まぁ、次の人が来るまでそんなに長くはないと思うし、ここは割と寝心地もいい。つかの間の休息だと思えばいいさ」
去り行くガイノジの後ろ姿を見つめながら、僕は巨木のふもとにもたれかかった。彼方に見える巨大な池を、いくつもの蓮の花が埋め尽くしていた。
結果
ガイノジ
日常生活において、時たま意味不明の問いを投げかけられる機会がないとは言えない。
「ガイノジって知ってるか?」
「なんすか、それ」
はじめて聞く単語だ。先輩の解説によると、最近噂になっている、いわゆる都市伝説というものらしい。
「なんでも、クロワッサンを食べた人の夢の中に出てくるらしくてな。出会ったやつに問題を出してきて、答えられないとずっと夢の中に閉じ込められちまうらしい。だから、ガイノジには気をつけたほうがいいぜ」
先輩はめちゃくちゃ真面目な顔をして語っていた。ところで、不思議なことがある。目の前にいる先輩は後輩だ。何で後輩が先輩なんだろう?
辺りを見回すと、薄い霧が立ち込めていた。草木が茂り、大きな池が見える。蓮の花が水面に咲き誇る。その情景に見とれている間に、先輩だった後輩はいなくなってしまった。この辺りになると、大体状況が飲み込めてくる。僕は既に夢の中なのだろう。
よって、先日別れた彼女が地面の中からドリル回転で飛び出してきたとしても、なにも驚く必要はない。ただ、ぼくが病んでいるというだけだ。
「ヘイ、ガイ!カモン!コッチコイ!」
なぜか片言だが、やっぱり可愛いな。我ながら未練たらたらだ。
「オーケーオーケー、アイムファインサンキュー。エンヂュー?」
「何言ってんの?はやく行こうよ、映画始まっちゃうよ」
「ああ、ごめんごめん」
彼女の後を追って、車を降りる。僕たちは、感動の名作と評判の『ゴリラ対メカゴリラ』を見に来たのだ。あまり純愛映画は趣味じゃないのだが、まぁ、彼女が見たいというのだからしかたあるまい。
映画館の中に入ると、ちょうど予告編が始まったところだった。席について、ポップコーンをぱくつき始める。隣では彼女がTボーンステーキにむさぼりついている。もうちょっとマナーというものを考えてほしい。
ブザーの音が鳴った。
画面に映った世界には、太陽と月が同時にある。夜と昼が混ざり合っている。草がある。木がある。巨木のふもとに誰かが寝ている。(あれがガイノジだ)僕は直感した。
僕はそいつに近づいて言った。
「問題に答えればいいのか?」
ガイノジは何者なのだ?近づいてもよくわからない。人か?犬か?クロワッサンか?そいつは僕の声に反応し、ゆったりと身を起こす。
「君にその気があるのなら」
「やるしかないだろう。出せよ、問題」
「1+1イコール?」
「2」
「田んぼの田だ」
「おい、ちょっとそれはな……!」
「本当はね、問題に意味なんかないんだ。順番なんだよ」
なんてこった。
「それじゃ、先輩……っぽい後輩は嘘をついていたのか?」
「決まっていることでも、回避方法を見つけたがるものだろう?あれは君のあがきだよ」
「ああ、そうか……大体わかった」
「それじゃ、そろそろ僕は行くよ。まぁ、次の人が来るまでそんなに長くはないと思うし、ここは割と寝心地もいい。つかの間の休息だと思えばいいさ」
去り行くガイノジの後ろ姿を見つめながら、僕は巨木のふもとにもたれかかった。彼方に見える巨大な池を、いくつもの蓮の花が埋め尽くしていた。
by rei_ayakawa
| 2007-09-21 18:44
| 空想