Ⅰ
2006年 04月 11日
私が当てもなく道をぶらぶら歩いていると、一人の老人が道端に座り込んでいるのが見えた。
私は疑問に思って聞いてみた。
「どうしてそんなところに座り込んでいるのです?」
老人は答えた。
「疲れたからさ」
私は再び質問した。
「何故そんなに疲れているのですか?」
老人は答えた。
「ここまでずっと歩いてきたからね」
私は辺りを見回した。道の周りには何もなく、ただ広い平原が広がっていた。日が沈みかけている。夜になれば冷え込む。こんなところで座り込んでいたら、凍え死んでしまうのではないか。
「早く歩き出さないと、日が暮れてしまいますよ」
老人は答えた。
「だって、疲れたんだもん!」
いい年して「だもん」とか言ってしまっていいのだろうか?と私は疑問に思い、この老人が特別養護老人ホームから逃げ出してきたのではないかと考えたのだが、別にそんなことはどうでもよかった。
「このままじゃあなたは凍えてしまいます」
老人は答えた。
「俺には熱いハートがあるから大丈夫さ」
なるほど、それなら大丈夫だよなぁって納得してたまるかこの野郎。
「心だけじゃ寒さはしのげませんよ」
老人は答えた。
「心をなくしちゃしのげるものもしのげんよ」
う、なんかかっこいいこと言われた。言っていることは確かにかっこいいが、かっこいいだけだ。かっこよさだけで生きていけると思うな。時には現実を見つめて醜態をさらすことこそが、人間らしさというものではないのか。
「とにかく、早くここから立ちましょう。あと1キロもいけば、宿があるはずです」
老人は答えた。
「君は、疲れきっている老人になにがなんでも歩けと言うのかね?」
私は言った。
「しかたないでしょう。歩かないことには、あなたはここで死んでしまうかもしれない。見殺しには出来ませんよ」
老人は答えた。
「大丈夫、さっきタクシー呼んどいたから」
私は疑問に思って聞いてみた。
「どうしてそんなところに座り込んでいるのです?」
老人は答えた。
「疲れたからさ」
私は再び質問した。
「何故そんなに疲れているのですか?」
老人は答えた。
「ここまでずっと歩いてきたからね」
私は辺りを見回した。道の周りには何もなく、ただ広い平原が広がっていた。日が沈みかけている。夜になれば冷え込む。こんなところで座り込んでいたら、凍え死んでしまうのではないか。
「早く歩き出さないと、日が暮れてしまいますよ」
老人は答えた。
「だって、疲れたんだもん!」
いい年して「だもん」とか言ってしまっていいのだろうか?と私は疑問に思い、この老人が特別養護老人ホームから逃げ出してきたのではないかと考えたのだが、別にそんなことはどうでもよかった。
「このままじゃあなたは凍えてしまいます」
老人は答えた。
「俺には熱いハートがあるから大丈夫さ」
なるほど、それなら大丈夫だよなぁって納得してたまるかこの野郎。
「心だけじゃ寒さはしのげませんよ」
老人は答えた。
「心をなくしちゃしのげるものもしのげんよ」
う、なんかかっこいいこと言われた。言っていることは確かにかっこいいが、かっこいいだけだ。かっこよさだけで生きていけると思うな。時には現実を見つめて醜態をさらすことこそが、人間らしさというものではないのか。
「とにかく、早くここから立ちましょう。あと1キロもいけば、宿があるはずです」
老人は答えた。
「君は、疲れきっている老人になにがなんでも歩けと言うのかね?」
私は言った。
「しかたないでしょう。歩かないことには、あなたはここで死んでしまうかもしれない。見殺しには出来ませんよ」
老人は答えた。
「大丈夫、さっきタクシー呼んどいたから」
by rei_ayakawa
| 2006-04-11 17:48
| 空想