写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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優良学級賛歌

幸子先生が教壇に立つと、生徒たちは一斉に立ち上がり、背筋を伸ばしました。

「皆さん、こんにちは」

幸子先生が礼をすると、生徒たちも「こんにちは」と復唱し、一斉に頭を下げました。

「はい、着席してください。皆さんは実に優秀ですね。私のよろしい教育方針のおかげで、高学年としての自覚も生まれてきたようで、まことによろしゅうございますことよ。さて、今日は教科書の36頁を開いてください。そこから40頁にかけて、家で勉強してきてくださいね。教科書をしまってください。プリントを配りますので、後ろの人に回してあげてくださいね。全員に行きわたりましたか? それでは、早速始めましょう。田中一郎君、プリントの最初に書かれている単語を読み上げてください」

田中君は「はい」と大きく返事をし、座ったまま背筋をぴんと伸ばして、大きな声で読み上げました。

「『セックス』」
「はい、よくできました。今日は先生の趣味に従い、皆さんにエロい単語をバンバン読み上げてもらおうと思います。子供にエロい単語を言わせるって、背徳的な感じがしていいですよね。なんだか、自分がとてもえらい人間になったかのような気分です。次は木内優子さん、お願いします」
「『○○○』」
「ああ、素晴らしいですね! 全年齢向けブログでは流石に伏せ字を使わざるを得ないのが難点ですが、実に素晴らしいです! よくぞ、そこまで堂々と読み上げてくれました。先生は感激しています! ……ああ、ごめんなさい。少しテンションが上がりすぎてしまいましたね」

幸子先生は心を落ち着けるため、胸に手を当て、○○○が○○○○で○○○○している光景を想像しつつ○○○○しました。すると、不思議なことがおこりました。先生のテンションが、さらに上がってしまったのです。

「あー、セックスしてえええええ!」

両手をかかげて吼える彼女と、表情を変えず微動だにしない生徒たちの様子を、廊下から覗き見ている人影がありました。

「このクラスは素晴らしいな……。生徒たちは従順だし、学級崩壊の兆しも見えない。よくぞここまで育て上げたものだよ、幸子先生」

校長先生のまなじりに、涙がきらりと光りました。
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# by rei_ayakawa | 2008-06-15 16:43 | 空想

ノコギリ

「ノコギリ欲しい」と彼女がねだってきたのだが。

「何故ノコギリが欲しいの?」と僕が聞くと、「主にギザギザを楽しむため」と答えた。彼女のギザギザ好きにも困ったものだ。ところで、僕の朝食はプリンだった。プリンはギザギザしていない。この事実を伝えるべきだろうか。それとも、伝えぬべきだろうか。

プリンはプリンとしている。この事を伝えたら、彼女は僕のことを嫌いになってしまうかもしれない。僕は迷った。

「ノコギリ買ってー、買ってー」
「うるさい、黙っていろ。ただ今考え中だ」
「トゲトゲしいのは、嫌だよ」

わがままな女だ。大体、ギザギザしてたら必然的にトゲトゲしてるだろうが。僕はだんだん苛立ってきたし、全てがどうでもよくなってきた。いいんだ。言ってしまおう。どうってことはない。知ったことじゃないさ。僕は叫んだ。

「僕の朝食はプリンだ!」

彼女の顔から血の気が引いた。僕はひるまなかった。続けざまにまくし立てる。

「僕の朝食はプリンだ! プリンなんだ!」

彼女は泡を吹いて、スローモーションで倒れた、ように見えた。そんなにショックだったのか。僕は好かれていたのかもしれないな、と思った。泡を吹いた女性は、元がどうあれ、やはりあまりキレイではなく。

ああ、ノコギリが欲しい。
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# by rei_ayakawa | 2008-06-10 22:13 | 空想

定期

君たちと出会ったのは、桜の花びら舞い散るタイミングでしたね。
あの時僕は若かったし、君たちも若かった。
君たちは花びらを集めていましたね。
花びら集めて、墨汁ぶっかけて「汚してやった!汚してやった!」と騒いでいましたね。

未だに君らはやっていますね。
僕は周りで見ています。
反復横とびを全力でしながら見ているんだ。
そろそろ、限界かもしれない。
体力的に。

さようなら。
さようなら。

架空の駅で定期を使うよ。
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# by rei_ayakawa | 2008-06-07 19:16 | 空想

夢がムキムキ

一度でいいから、胸をキュンキュンさせてみたい。

どうやら、世の中には「胸がキュンキュンする」という状態があるらしいのだ。友人がそんな事を言っていた。是非とも一度経験してみたいものだが、そもそもキュンキュンってなんなのだろう。ピクピクと似た様な感じか。胸筋ピクピク動かしたのと同じような感じか。だとしたら、私には無理である。ピクピクさせるほどの胸部筋肉がないからだ。キュンキュンさせるのがピクピクさせるのと同じようなことなら、私には無理だ。

実に残念なことである。日頃から世界の真理を探究している私としては、出来るだけ多くのことを経験したい。しかし、胸筋はつけられない。運動が嫌いだからだ。故に、私は「胸がキュンキュンする」あるいは「胸がピクピクする」という状態を生涯経験することができないのである。その代わり、「胸がズキズキする」という状態は簡単に経験できる。小学生に軽く小突いてもらうだけでよい。

もしかしたらそのまま死ぬかもしれない。

いや、さすがにそれはないか。いくら私が貧弱極まりないボディをしているとは言え、小学生に小突かれただけで死ぬとは思えない。思いたくない。とは言うものの、世界は広い。拳一つで青函トンネルを完成させることのできる小学生がいたとしても、不思議なことなど全くない。そんな奴に小突かれたらどうなるか。ああ、私は間違いなく死んでしまう。なんということだろう。

やはり、運動不足は健康に悪いのだ。反省するべきだろうか。いや、するべきではない。一度こうと決めたら、突っ走るのが男の道だぜ。
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# by rei_ayakawa | 2008-06-04 23:29 | 日々
石田先生に弟子入りしたのはいいが、これといって何も教えてもらえない。

先生は青汁を、毎日欠かさず飲んでおられる。飲む時はなぜか和室にこもって飲むのがお決まりで、僕は先生の後ろに控えている。今日も、先生は黙々と青汁を飲んでおられる。僕は聞いてみた。

「先生、青汁がお好きなのですか」

先生は答えた。

「プライバシーの侵害じゃ」

また何も教えてもらえなかった。先生に弟子入りして十日が過ぎたが、こんなことばかり続いている。僕は忸怩たる思いを抱えつつも、これ以上突っ込んで聞くのは先生に失礼な気がして、話題を切り替えることにした。

「隣の塀に囲いができたそうですよ」

頼む、「へー」と答えてくれ。

「かっこいー」

そっちか。

僕は先生のことが知りたいのだが、いまいちよくわからない。僕が黙り込んでしまうと、先生は一言もしゃべらなくなってしまう。正座の姿勢を堅持し、正面を向いたまま一点を見つめ続ける。視線の先には、壁しかないのに。

恐ろしい。僕には、先生が恐ろしい。

「何か教えてください、先生」

「いやじゃ」

そう言うと、先生はまた口をつぐんでしまった。
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# by rei_ayakawa | 2008-05-31 22:37 | 空想