写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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「ほっほっほ。今日も世界中の良い子のみんなにプレゼントを届けに行くのじゃ。トナカイ、ほれ、急いで飛んでおくれ」
「僕になんか期待しないでくださいよ。どうせ、僕は赤い鼻ですよ」
「何を拗ねておる。おお、そうか。またみんなに何か云われたのじゃな。気にすることはないぞ。暗い夜道では、ピカピカのお前の鼻が役に立つのさ」
「サンタさん! それは本気で言っているのですか?」
「おお、もちろんじゃ」

「嗚呼! それはなんたることでしょう! サンタさん、落ち着いてください。いくら僕の鼻が赤くてピカピカだと云っても、暗い夜道において、ヘッドライトの役割を果たしてくれるほどピカピカであるはずがありましょうか! 確かに、相手から見えやすくなる程度の意味合いはそこにあるかもしれませんが、我々の行く先を照らしてくれるなどという神々しき恩恵は全くと言っていいほど期待できません。さらに、我々が行くのは空。空なのです。対向車の心配はありませんし、すれ違うのは飛行機だけ。搭乗員が僕の鼻の輝きを認識するころには、すでに僕とサンタさんは地上へと向かって華麗なる墜落を遂げてしまっているはずなのです! ああ、サンタさん。それでもなおかつあなたは、僕のこの忌まわしき鼻が役に立つとおっしゃることができますか?」

「あ、えーと、その」
「だとしたら、あなたは既に正常な判断力を失っています! 子供たちにプレゼントを配っている場合ではなく、一刻も早く我々は空から降りて、あなたの操縦ミスによる事故を阻止するために動かねばなりません。サンタさん、僕は一時の慰めなどよりも、確実な任務の遂行を望むのです!」

「ああ、ごめん、わかったよ。さすがに役に立つとは云えんわな。うん」
「ですよねー。だから、僕に何か期待しないでくださいよ」
「拗ねるなよう。しかしじゃな。今のやり取りで、お前が非常に高度な論理的思考能力を持っており、いざ仕事となるとそれを存分に発揮できる偉大さをも備えていることを確認できたぞい。やはり、お前は頼りになるやつじゃよ」
「でも、鼻は赤い! 嗚呼!」
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by rei_ayakawa | 2008-12-24 19:58 | 空想

突き指 後日談

 前記事のコメント欄で、「病院は面倒くさいので行きたくありません。一年後にまだ完治していなかったら行きます」と豪語した私。あれから一週間ほど経ち、指の腫れがほぼ完全に収まったにもかかわらず、関節部分だけ痛くて曲がらないという異常事態を前に、あっさりと前言を翻して、病院へと赴いたのであった。一体どうなってしまうのか?

 さわやかな日差しの降り注ぐ、平日の午前中。診療時間の始まりとともに、病院に到着した私。待合室に足を踏み入れてようやく、病院というものは混んでいるものなのだ、ということを思い出す。久しぶりすぎて忘れていた。もうちょっと早く来ればよかったのだ。これが女子高生の群だったらどれほど目の保養になることかわからないが、ひしめいているのは人生の大先輩方ばかりである。いきなり意気が挫け、もう帰ろうかどうしようかと五分くらい悩んだ。待つのは面倒くさいが、再び来るのはさらに面倒くさい。諦める以外に道はなかった。

 さて、問題はこの膨大と思われる待ち時間をいかに過ごすかである。残念なことに、暇つぶしに適したものはこれといって持ってきていない。妄想力を存分に発揮して暇を潰すほかないか。椅子に座り、「好きなあの子と道端でばったり会っちゃった時の対処マニュアル」でも作成しようと、メモ帳とペンをカバンから取り出したその時、思いもかけぬものを前方に発見した。

 本棚の中に、本がある。

 そうか、思い出した。病院には本があるのだ。私は小学生の頃、慢性的な鼻炎に苦しまされていて、しょっちゅう耳鼻科の厄介になった。その時にも、待合室に置かれていたマンガで時間を潰していたのだ。それ以来ほとんど病院を利用しなくなって、待合室のマンガといえば完全に床屋のイメージになってしまっていた。いやはや、病院から遠ざかるというのも困りものである。まあ、こればかりは健康の証拠だし、仕方のないことなのだ。でも、歯医者は去年行ったか。置いてあったな、マンガ。いやあ、うっかりうっかり。

 なにはともあれ、これなら暇つぶしは容易である。『ゴルゴ13』面白いなあ。「アヤカワさーん」そろそろクライマックスか。「アヤカワさーん」ちょっと待て、今いいところなんだ。「アヤカワさーん」待てというに。

 気がつけば、30分近くもの時間が過ぎていることに愕然とした。何たるトラップ。断腸の思いで立ち上がり、マンガを本棚に突っ込んで、診察室に向かう。泣くな、私。清算待ちの時にまた読める。

「とりあえずレントゲンを撮ってみましょうね」と、見目麗しい看護士さんに微笑まれた時点で、満足した私はもう帰ってもいいかなと思ったのだが、何もそんなアナーキーな行動を進んで取ることもないだろうと思いなおして、素直に従うことにした。

「えーと、完全に骨がぐちゃっていってますね」

 ぐちゃって。

 そんな形容するなよ。ぐちゃって、なあ、ドクター。

 レントゲン写真を見つめながら、そんな思いを抱く私。先週書いた記事の書き出しは「幸運なことに、私はこれまでの人生で大きな怪我をしたことがない」というものだったのだが、あれを書いた時点で既に大きな怪我をしていたことになる。幸運でも何でもない。ごくごく普通の一般ピーポーだったのだ、私は。皆さんをだますような文を書いてしまったことを、本当に申し訳なく思う。申し訳ない、申し訳ない。このくらいでいいかな。
 
 過ぎてしまったことを悔やんでも仕方がない。見るべきは未来である。私の胸は高鳴っていた。人生初骨折である。まさか、こんなにも早くチャンスが訪れようとは。もう、ゴルゴなどどうでもいい。さあ、私を紳士にしてくれたまえ、ドクター。

「とりあえず、固定して一週間ほど様子を見ましょう」

 なるほど。まずはギブスか。指示されるまま処置室に向かい、骨折している右手の小指にギブスを付けてもらう。お湯につけると軟らかくなるので、その状態で指に巻きつけ、冷水につけて一気に高質化させ装着完了。着脱式なので、普通に風呂にも入れるらしい。なかなか便利なものである。私の利き腕が左ということもあり、日常生活にたいして支障はなさそうだ。

「はい、今日はこれで終わりです」

 まて、松葉杖を忘れているだろう。松葉ステッキはどうした。

「待合室でお待ちください」

 マジで? ああ、会計の時にプレゼントというわけか。なかなか粋な演出だね。

「お会計は3055円です。ありがとうございました。お大事に」

 ありがとうございました!
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by rei_ayakawa | 2008-12-04 22:54 | 日々