写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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18禁かもしれない

「ちょっと、やだ、こんなところで……」
「……」
「あ、や、入れちゃダメぇ……」
「……」
「ど、どうしたの?」
「わかってるんだ……」
「え?」
「どーせ、『存分にエロく見せておいて実は違うことやってましたオチ』なんだろ!」
「!!」
「ふん、そんな手に引っ掛かってたまるか!」
「そんなことないって。普通にエロだよ」
「嘘だ!」
「もうちょっと作者を信じる気持ちを持たなきゃだめだよ。大体、違うことって具体的に何?」
「む……」
「『やだ』『こんなところで』『入れちゃダメぇ』ってセリフが結びつくエロじゃない環境って?」
「うーん……意外と難しいな……」
「でしょ」
「あ、わかった。ゴルフだよ」
「ご、ゴルフ?」
「君と僕が一打差を争う勝負をしていたが、君がパットを外してしまった。それで『ちょっと、やだ、こんなところで……』僕がパットを入れれば勝負は決まる。故に『あ、や、入れちゃダメぇ……』どうだい?」
「あー、そういう解釈はありだね」
「ふふん、見たか」
「でも、不正解」
「マジで!?」
「だからエロだって言ってんじゃん」
「いいや、そんなことは信じないぞ!」
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by rei_ayakawa | 2007-10-31 21:42 | 空想

靴下

靴下ってのは、しばらくはいてると簡単に穴があく。

何故あくのか?平家の怨念という説が、私の中では最も有力視されている。しかし、果たして本当にそうなのであろうか。私はここで新説を提唱したいと思う。靴下の耐久性に問題があるのではないかという説、略して「靴下の耐久性に問題があるのではないかという説」である。

あまりに(私の中での)定説と異なるので皆さん驚かれたかもしれないが、何もこれは突飛な発想ではない。冷静に考えてみるがいい。靴下が床と足裏との摩擦により磨耗するということに、何の不思議があろうか。いや、ない。平家の怨念などという非科学的な現象に解を求めるより、はるかに現実的にして科学的ではないか。

故に、この現象を解決する方策は、神社の付近を通ったら欠かさずお賽銭を投入して「平家の怨念がとけますように」と祈ることではない。今までそれを習慣にしていた私のような人は、すぐさま改めるべきだ。

では、具体的に靴下に穴が開く問題をどう解決したらいいのか?靴下の耐久力に問題があるのだから、靴下の耐久力を上げるべきである。

昔の空手家などは、砂と砂利をパンパンに詰めた袋を拳がすりむけるまで殴り続け、塩で殺菌してまた殴り、とにかく殴り、殴りに殴って鍛え上げ、石のように固い拳を手に入れたらしい。これと同じ要領で、靴下を鍛えてやればよいのだ。

まず、砂袋を用意する。次に、靴下をグローブのように手に嵌める。ここまでくれば準備は万端。叩け!叩け!叩け!靴下が破れたら、修繕してまた叩け!靴下が血の色に染まっても叩け!とにかく叩け!

これで、鋼のような強度の靴下と、ついでに拳も手に入るはずである。非常に簡単だ。根性さえあれば誰にでも可能。是非とも、皆さんにはがんばっていただきたい。

皆さんには、がんばっていただきたい。
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by rei_ayakawa | 2007-10-29 17:03 | 日々

Space in Space

宇宙のどこかの片隅の、どこかの星の、どこかの木の下に、一本の剣が刺さっていました。

『抜いちゃダメ!』

と、看板には書いてありました。

たまたま通りかかった若い旅人は、それを見て「なにを偉そうに」と思いました。

北風は、「あの旅人の服を吹き飛ばしてやるぜ!」と思いました。

太陽は、「北風……そんなお前が好きさ」と思っていました。
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by rei_ayakawa | 2007-10-26 18:24 | 空想
わたくしの前にあの方が初めて現れたのは……いつごろのことだったかしら?確か、わたくしが「ヤッホーヤッホー、ヨーロレイヒー」と山脈に向かって声を張り上げたすぐ後です。急に表れたものだから、わたくしびっくりしてしまいましたの。

「やあやあ、はじめまして。山彦です」
「あら、あなたが噂に聞くあの……」
「山彦です」
「山彦さんでしたのね」
「ええ、山彦です」
「なぜこんなところにいらっしゃるのですか?」
「あー、そうですね、しいて言うなら山彦だからです」
「あらぁ、山彦だから」
「ええ、山彦だからです」
「大変ですのね」
「いえ、山彦です」

わたくしとあの方はすぐに親しくなりましたわ。きっと、お互いに通じ合うものがあったのでしょうね。ですが、すぐに別れの時はやってきてしまいました。

「そろそろ日が暮れてしまいますわ。山を降りなければ……」
「そうですか。では、お別れですね」
「あなたも一緒に降りませんか?」
「無理ですね。山彦ですからね」
「そうですか……山彦って、不自由なものなのですね」
「いえ、僕は山彦の割には自由な方ですね」
「そうなのですか」
「山彦の割にはね。まあ、また来てくだされば会えますよ。ちょっとあっちの山肌に声を掛けてくれれば、すぐ出てきます」
「わかりました。それではまた……」
「お元気で」

わたくしたちは幾度も会ううち、お互いに特別な感情を抱くようになっていました。ですが、わたくしのお父様はとても厳しい方で、わたくしたちの結婚を許してはくれませんでした。

「家に一度も挨拶に来ない男なんかとの結婚を許せというのかね?」
「お父様!それは、彼が山彦だから……」
「そこだよ。山彦なんかとの結婚を許すわけにはいかん。山彦は山彦であって、人ではないんだ」
「でも……」
「お前は一生を山にこもって過ごす気かね?」
「はい。それだけの覚悟は持っていますわ」
「お前の気持ちはわかるがね。それは若さゆえの一過性の感情だよ。もっとしっかり自分の将来の生活を考えるべきだ」
「お父様!」

あの方も「僕らは一緒になるべきではないと思うな。だって、山彦だし。こればかりは如何とも……」とお父様と同じようなことを言いましたが、わたくしはどうしてもあの方と離れたくなかったのです。わたくしは言いました。

「でしたら、わたくしも山彦になりますわ!」
「ええ!いや、なろうと思ってなれるものでもないし、大体、山彦なんてろくなもんじゃないよ?」
「でも、あなたはとても素敵な方ではありませんか」
「いや、別に山彦がろくでなし揃いとかそういう意味じゃなくて、なって面白いものじゃないって意味さ」
「それでも、あなたとは一緒にいられます」
「うーん、でも、山彦どうしってコミュニケーションとれないし……誰かが呼びかけてくれないと喋れないわけで、そこはほら、君が呼びかけてくれないと話にならないわけですよ」
「会話のない仮面夫婦でも構いませんわ!愛さえあれば!」
「うん、いや、言わんとしていることはわかるんだけどね」

仕方がないので、わたくしは山中に山小屋を自力で建設して、そこに住むことにしました。

「……君、働きっぱなしだけど大丈夫?」

あの方は、常にわたくしを気遣ってくださいました。ですが、わたくしもいつまでも弱いままの女ではありません。

「なーに、この程度全く心配ありませんぜ!ガハハ!」

わたくしは建築作業を通して身も心も鍛えられ、立派なガテン系へと変身していたのです!こうして著しくたくましくなったわたくしは、やがて筋肉への愛着が高じて海外のボディビルコンテストに出場し、見事に優勝。そこで光り輝くマッスルボディのジョンと出会って、間もなく結婚。今では一男一女を設け幸せな毎日を送っています。

筋肉って、本当によろしいものですね。
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by rei_ayakawa | 2007-10-24 19:03 | 空想
鼻くそをなかなかほじりだせないで四苦八苦している最中「せっかくこの世に生を受けたからには、後世に名を残すような偉大な人間になりたい」と思い立った。

しかし、後世に名を残すといってもどうすればいいのだろうか。パッと頭に思い浮かぶ偉人たちを挙げてみる。

織田信長、ナポレオン、源頼朝。よし、戦争だ。

俺の領土は俺のもの、お前の領土も俺のもの。思う存分戦争をするためには、まず国内を手中におさめる必要があるだろう。まっとうな方法で政権をとっても、今の日本では領土拡大のための戦争はとても実行できまい。出来ることなら、政権掌握も武力をもってして行いたい。完全なる軍事政権が樹立できるし、その方が英雄としての箔が付くというものである。ふふふ。

しかし、はたと気がついた。この案には重大な欠点がある。負けたら大変なのだ。織田信長もナポレオンも歴史に名こそ残しはしたものの、かたや自刃で、かたや島流しである。しかも、私の場合は友達が少ないので、武力による政権掌握の手法は単騎殴り込みに限られる。これはもう、果てしないほどに勝ち目が薄い。ただの一テロリストとして生涯を終えることが目に見えている。悔しいが、ここは考え直すべきだろう。

別に歴史に名を残す方法は戦争だけではないのだ。たとえば、我が国には清少納言、紫式部、夏目漱石、芥川龍之介といった、誰もがその名を知る文学の巨人たちがいる。よし、文学で行くか。

そのために、まずは作家デビューをしなければならない。作家になる一番手っ取り早い方法は、やはり新人賞への応募であろうか。私の天変地異的才能からして、応募すれば必然的に受賞することになる。最悪、あまりの感動に審査員から死人が出る危険性すらあるだろう。しかし、それは仕方のないことなのだ。優れた芸術作品を後世に残すため、必要な犠牲なのである。ここは心を鬼にして、応募することにしたい。

どれ、まずは応募要項を……400字原稿用紙100枚程度?ふふ、無理だな。

こいつらはいかなる考えでこのような妄言を吐いているのか。読書感想文ですら書くのに手こずっていた私が原稿用紙100枚など埋められるものか。もういい。文学はもういい。

音楽は楽譜すら読めないので論外として、こうなったら理系の道に進もう。目指すはアインシュタインだ。アインシュタインは学校では数学しかできない落ちこぼれだったが、そのたった一つの長所を伸ばしに伸ばした末、天才的な数学者になったらしい。要するに、数学さえやってりゃいいのだ。複数教科受けなきゃならない小学生より楽そうである。よーし、私も数学者になるぞ。

流石に九九は覚えているので、まずは分数の計算から始めようと思う。
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by rei_ayakawa | 2007-10-22 16:38 | 日々

取り調べ

「お前が犯人なんだろ!証拠は挙がってるんだ、さっさと白状しやがれ!」
「待ってください、この子にはアリバイが……」
「あんたには聞いてませんよ。俺はそこのガキに聞いてるんです」
「でも、事件のあった日も、この子は確かに私のおなかの中に……」
「いいから白状しやがれ!胎児だからって容赦しねぇぞ!」
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by rei_ayakawa | 2007-10-19 21:23 | 空想

コーリング

「ゴーーーーーーッド!」

地を割るかのような民衆の叫びが天に届き、ゴッドが降臨したのであった!

「なんじゃい、うるさいなぁ……わしゃお休みの時間じゃぞ」

民衆は沸き立った!呼んだはいいものの、まさか本当にゴッドが降臨するとは!

「ゴーーーーーーッド!」
「だからなんじゃって。そんだけ豪快にわしの名を呼ぶんだから用事があるんじゃろ。ほら、言ってみ」

ゴッドが目の前にいる!ゴッドが喋ってる!ゴッドがケツを掻いている!民衆の興奮はやむところを知らない。ゴッドコールがこだまする!

「ゴーーーーーーッド!」
「いや、それだけじゃわからんから」
「ゴーーーーーーッド!」
「だから、あの……」
「ゴーーーーーーッド!」
「……」

ゴッドは天へと帰って行った。

「いやー、よかったな」
「ほんとだよ、まさかゴッドが見られるとはな」
「天から降りてきたんだぜ、すげぇよな!」
「素晴らしい経験だったよ」

人々は口々に満足の言葉を口にしたが、結局日照りは解消されなかったのであった!
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by rei_ayakawa | 2007-10-17 20:17 | 空想

ハッピーバースデイ

今日は僕の誕生日の日。
朝から妙に頭痛が痛い。

僕は病院の病室の一室で生まれた。
そこから今まで、長いようで短かった気もする。
最初の数年は何も覚えていない。
でも、一つだけ覚えていることがある。

弟が生まれたのは僕より後だった。
ああ、弟が生まれたのは僕より後だった。
弟が生まれたのは僕より後だったんだよ。

今日は僕の誕生日の日。
昼から妙に腹痛が痛い。

幼い頃の思い出を思い出す。
田んぼに見えるホタルを見たんだ。
飛びながら墜落するのさ。
そして、大切なことも思い出す。

弟が生まれたのは僕より後だった。
ああ、弟が生まれたのは僕より後だった。
弟が生まれたのは僕より後だったんだよ。

今日は僕の誕生日の日。
家へと続く家路を急ぐ。
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by rei_ayakawa | 2007-10-15 20:38 | 空想

世代間断絶

むかしむかしというわけではなく、ごく最近あるところに、おじいさんがいました。

「まったく、最近の若者はことごとくけしからん!軟弱じゃ!ぶっ殺してやる!」

おじいさんは日本刀を担いで家を飛び出しました。

「ちょっと、おじいさん!お昼ご飯はどうするんですか?」

娘さん(といっても年齢的には……)が声をかけるも、振り向きもせず駈け去って行きます。大正生まれ、まだまだ元気です。よきことですね。

おじいさんが町中に到達すると、いるわいるわ、髪なんか染めていかにも軟弱そうな日本男児の群れ!おじいさんはさっそく華麗なる虐殺を開始することにしました。第一の犠牲者に決めたのは、長髪・茶髪・シルバーアクセサリー・女連れといった条件を兼ね備えた、軟弱者の見本のような青年でした。

「くたばれー!」

おじいさんは日本刀を若者の脳天に振りおろしました。ところが、意外なことが起きます。青年の華麗な真剣白羽取りが決まったのです!

「甘いぜ、じーさん……。そんなんじゃハエも殺せねぇ」

おじいさんは大いに狼狽。そして、意外なことが起きます。

「私、実は1年前まで男だったの!」

青年の連れの女性が理解不能のタイミングでカミングアウト。青年までもが大きなショックを受けてしまいます。さらに、白衣の男が現れて意外なことを言いました。

「私はその女性の主治医ですが、今の発言は事実ではありません。生まれた時から女性ですよ、彼女は。なぜだか、いつからか『自分は元男だ』と思い込むようになってしまったのです」
「何を言ってるの。私はあなたなんか知らないわ」
「いいから帰りましょう。一刻も早く」

青年もおじいさんも、あっけにとられています。そこに、警官がやってきました。

「待てー、連続誘拐犯、待てー」
「ちっ、見つかったか!」

白衣の男は大慌てで逃げ去りました。警官は叫びました。

「待て、待つんだ!止まると撃つぞ!」
「じゃあ止まらない!」
「ああ、それでいいんだ!そのまま、行け!走るんだ!そして、社会を変えろ……!」

警官は涙を流して、白衣の男の後ろ姿を見送りました。

「これでよかったんだ……これで……」
「あなた……」

警官の肩にもたれかかって涙を流しているのは、先ほどまで青年の脇にいた例の女性でした。

「それじゃあ、帰ろうか」
「そうね。今日はドラえもんの日ですもんね」
「あの青ダヌキめ……いつか撃ち殺してやる」

去りゆく二人の姿を見ながら、青年とおじいさんは立ち尽くしていました。

「なぁ、じーさん……」
「……なんじゃ?」
「世の中ってわかんねぇことだらけだなぁ……」
「そうだよなぁ……」
「あ、やべ、燃料切れる。博士んところ帰らなきゃ」

青年は足の裏からジェットを噴射して空へと飛び立ちました。

「じーさん、またなー」

あっという間に視界の外へと飛び去って行く青年を見て、おじいさんは少し寂しくなりましたとさ。
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by rei_ayakawa | 2007-10-12 17:26 | 空想

不健康な世界2

少年と少女(1)

「ねぇ、おかーさん、おかーさん」

僕はずっと呼んでいるのに、お母さんはなぜ空ばかり見ているのだろう。ああ、最近まったく眠れていない。滑り台から降りて、お母さんの袖を引っ張ろうとした。

「やめたほうがいいよ」

声のした方向をみると、ちーちゃんが立っていた。

「なんで?」
「どーせ、わかってもらえないから」

夢も希望もないこと言うなぁ。

「そんなこと、やってみなくちゃわからないじゃないか」
「わかるわよ。大人なんてみんなバカだもん」

なんてありがちなセリフ……僕は一つの確信をもった

「……キミはちーちゃんじゃないね」
「ぎょぎょ!なぜわかった!?」
「ちーちゃんはそんなこと言わない。そんなありがちなひねくれ方してないもん、あの子。あと、ぎょぎょ!とか言わないし……」
「むむむ!ばれてしまっては仕方がない。そう、私の正体は……お父さんだぁ!」

これはちょっとした絶望かもしれない。

「……なにやってんの?」
「いやー、お前には一人で生きていける究極超人になってほしくてなぁ。そのためには、まずはお前に親離れさせなくちゃいけないだろう。私なりにいろいろ考えて努力しているのだよ、はっはっは」
「えーと、お父さんは子供のころから究極超人だったの?」
「はっはっは、そんなわけないだろう。お前ならできると信じてのことさ」
「だよね、今でも凡人っていうかむしろバカだもんね……。ゆーくんビーム!」
「たばっ!」

両眼から放たれた僕の必殺技をもろに食らい、お父さんは天空高く吹っ飛び、そして星になった。とはいえ、あの人はやたらタフなのでそのうち帰ってくるだろう。まがりなりにも僕の親だ。だけど、僕もあの人の子供なのだ。涙が出そうだ。

「でも、もしかしたら本当にダメかもしれないよ?女は魔物だもの」

振り返ると、ちーちゃんがいた。セリフから考えると、今度は本物みたいだ。

「いいんだよ、やるだけやっておきたいんだ」
「ふーん」

ちーちゃんは思いっきりその場に座り込んでこちらを見ている。とりあえず、追い払おうと思った。ちーちゃんなんかの相手をしている気分じゃないのだ。

「先帰りなよ。見ててもつまんないよ」

極力やんわりと遠回しに「邪魔、帰れ」という意思を表す。

「やだ。見てる」

お前、空気読めよ!

「帰りなさい」
「帰りません」
「却下」
「だめ」
「アウト」
「セーフ」
「ヨヨイノ」
「ヨイ」

うーん、想像以上の粘りだ。

「あのさぁ、なんでそこまで……」
「あたしは見てるよ。だから、一緒に帰ろう」













空では鉄の棺桶が編隊を為している。

「ちーちゃん」
「ん?」
「……ありがとう」

ちーちゃんは満足げに胸を張った。すぐに調子に乗る。だから嫌いなんだ。


とある青年の肖像

うるさいよ、世界。

スタッフ笑いが鮮やかに響く、この欺瞞。どいつもこいつも三文役者だ。俺たちは騙されている。真実を伝えてくれる賢者を探さねばならない。俺は旅に出ることにした。子供のころから感じていた違和感に、決着をつけるために。

家を出て3歩歩いたところで、さっそく賢者らしき人を見かけたので聞いてみた。

「すみません、あなたは賢者ですか?」
「いえいえ、私などはとても賢者というほどでは」
「そうですか」

残念、違ったらしい。この世に賢者と呼べるような人間はいないのか。とてつもない絶望感に襲われ、その場に跪いた。人生なんてクソである。そんなことを考えていると、賢者ではない賢者らしき人が慰めるように言った。

「大丈夫、3歩で知りつくせるほど世界は狭くありません。あなたの望む賢者は、きっとどこかにいますよ」
「どこにですか!?」
「いや、だからどこかにね……」
「くそっ、わかったような口をきくな!」

俺は走った。その場から全力で走り去った。もう嫌だ。どんなに探しても賢者なんかに会えはしないのだ。救済もあり得ない。

ああ、これからどうやって生きていけばいいのだろう……。


少年と少女(2)

僕らは二人で歩いている。

「結局だめだったね」
「うん」
「ゆーくん、へこんでる?」
「吾輩がへこむわけなかろうが」
「そう」

夕日が紫雲を表現している。
空はパレット。

「ねぇ、ゆーくん」
「ん?」
「あたしたち、ビーム撃てるってすごいよね」
「……変なだけじゃないか」
「変でも、すごいよ」
「そうかな」
「そうだよ」

まぁ、言われてみればそんな気もする。
僕たちだったら、素手でヤクザの事務所に殴りこむこともできるわけだし。

「そうなのかもね」
「うん」

ちーちゃんがぼくの顔を覗き込む。

「ゆーくん、へこんでる?」
「別に」
「そう」

妙にうれしそうだった。
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by rei_ayakawa | 2007-10-10 18:07 | 空想