写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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カテゴリ:空想( 191 )

バス

なぜかはわからないが、バスで乗り合わせた乗客が全員ハゲていた。

バスは満席。僕を含め、立っている乗客も複数いる。そして全員ハゲている。運転手は帽子を被っているが、後頭部の様子から考えて十中八九こいつもハゲだ。

別にハゲが悪いこととは思わない。僕自身もハゲの家系であるし、自分がハゲたらヅラなんか被らないで男らしく振舞おうと今から決めている。しかし、日本のハゲ人口はここまでの密度を誇っていたのであろうか。世界に誇れるハゲ大国日本だ。

いや、しかし、いくらなんでもこれはおかしい。老若男女問わずにハゲだ。おそらく、大半が剃っている。スキンヘッドが最近の流行なのであろうか。

僕の目前に座っている親子らしき二人。なにも、母娘そろってスキンにすることはないだろう。見た感じ、母親はまだ20代、娘は4,5歳といったところである。そんなに髪が嫌いか。髪が憎いか。

もうちょっと貴様ら、髪を敬え。

実に仲間はずれにされた気分である。何も悪いことはしていないはずなのに、そわそわして落ち着かない。みんなが僕を見ている気がする。なんでこいつはハゲじゃないんだ。無駄毛にまみれやがって。そんな風に思われているのではないか。

この場で自分の頭を丸めたい衝動に駆られたが、残念ながら手元にバリカンはなかった。よしんばあったとしても、さすがに公共の場で無駄毛処理はできない。

時計を見てみると、まだ乗車してから3分しか経っていなかった。時間の経過をここまで遅く感じるのは、乗客が全員ヒゲだったとき以来だ。

ハゲとヒゲ。一文字違いだが、両者の意味するところは大きく違う。かたや毛にまみれ、かたや毛がない。ハ行を一段下にずらすだけでここまでの違いが出るのだから、日本語は恐ろしい。もはやこれは哲学の粋ではないのか。哲学がどういうものなのか詳しく知っているわけではないのだが、なんとなくどことなくそんな気がしないでもない。

目的地まで大体15分ほどかかるので、僕はこの状況に後12分耐えねばならない。勘弁してほしい。途中で降りてしまおうか、本気で迷う。しかし、降りたらほぼ確実に遅刻する。それは避けねばならない。遅刻するわけには行かない状況なんだよ、こっちだって!

なんか時間が経つにつれ、全員ヤクザに見えてきた。これはヤクザの修学旅行か。疲れる。ああ、疲れる。立っているだけなのに、どうしてこんなに疲れるのであろうか。全員ハゲだからに決まっている。

当たり前の事実を自分の頭の中で確認し、僕はその場に座り込みたくなった。
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by rei_ayakawa | 2008-04-04 23:54 | 空想

意味

みんなやたらと理由を求めたがる。

生きる意味、死ぬ意味、悲劇の意味、喜劇の意味。

くだらない。

そこにはただ、現象があるだけだ。

意味など、その全てが後付けにすぎない。

僕は今現在目の前にある状況に意味を求めたりしない。

ただ、受け入れるだけだ。

「やあ、ぼくノラえもん。16世紀の過去から、納豆を食べに来たんだ」

「限度があるだろ」
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by rei_ayakawa | 2008-03-31 21:20 | 空想

壁のシミ


あああっ うう
あああっ うう


壁でやたらと呻いているやつがいる。
前々から思ってはいたんだ。
「あのシミ、人の顔っぽいな」って。

あああっ うう
あああっ うう


苦悶の表情で呻いている。
こちとら受験勉強真っ最中なんだが。

あああっ うう
あああっ うう


とてもうるさい。

「ちょっと静かにしてくれない?」

苦悶の表情が困惑の表情に一瞬変わった。
しかし、すぐに元に戻って、

あああっ うう
あああっ うう


かなり苦しいようだ。
体調が悪いのだろうか?
嫌がらせって雰囲気でもないしな。

「風邪か?薬いるか?」

あああっ うう
あああっ うう


まるで会話になりやしない。
もしかしたら、結構重体なのかもしれない。
高熱でもあるのか。

「病院行くか?」

あああっ うう
あああっ うう


これはいよいよ抜き差しならない状況みたいだ。

「ちょっと待ってな。救急車呼ぶから」

ここまで優しくされたことははじめてだああああああ!

壁のシミは消えた。
どうやら、僕はからかわれていたらしい。
受験勉強の真っ最中に。
ひどいことだ。

あんなやつ、死んでしまえばいい。
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by rei_ayakawa | 2008-03-23 19:55 | 空想

UNDO

ハイウェイに、俺は一人で立っていた。

星々に向かってそびえる摩天楼。
車が次々と横切る。
物珍しそうに、乗員が手を振る。
俺はなんでこんなところにいるんだろう。
考えても答えは出ない。


ここは未来都市です


ビルの電光掲示板にでかでかと表示される文字。
未来都市が自分のことを未来都市と言うなど変な話だが、どうやら俺はタイムスリップしてしまったらしい。
よく見れば、頭上を飛んでいる車もある。
実に未来都市だ。


だっふんだ


ビルの電光掲示板にでかでかと表示される文字。
何が言いたいのかはわからないが、未来都市においても志村けんは偉大なのだなぁ、と思った。


ウケた?


ビルの電光掲示板にでかでかと表示される文字。
正直、意外性はあったがウケたかと聞かれるとどうだろう。
それはそうと、未来都市においても「ウケる」は死語になっていないらしい。
立派なもんじゃないか。
ところで、どのくらい未来なんだろう、ここ。


……ごめんなさい


ビルの電光掲示板にでかでかと表示される文字。
何を勝手に謝っているんだ。
一瞬意味を取りかねたが、おそらくさっきのギャグの話だ。
誰かが「ウケてない」と電光掲示板に言ってしまったのであろうか。
志村に対して失礼だろうが!
なんたる未来都市だ!


お詫びにUNDOします


ん?


UNDOし続けます


お? お? お?










気がつけば、俺は電車の中にいた。
通勤途中らしい。
窓の外から見える景色は、未来都市ではなかった。
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by rei_ayakawa | 2008-03-10 20:40 | 空想

コンビニ

「ここがコンビニだ、弟よ!」
「うわぁ、僕、コンビニってはじめてきたよ!」

まぁ、そんなわけだ。
俺と弟は近所のコンビニまで、日帰りで旅行に来ている。
徒歩十分の長旅だったので俺は少し疲れていたが、弟は初めて目にするローソンに目を輝かせていた。
よかった。
来たかいがあった。

「よし、それじゃあ入るぞ。弟よ」
「うん。これ、自動ドアって言うんだよね。僕、知ってるよ!」

俺も知っている。
知識としては。
弟に不安を与えないように黙っていたが、実は俺もコンビニに来たのは初めてなのだ。
というか、こんな長距離の旅行がまず初めてだ。
疲労と緊張はもはや限界に達しつつあるが、ここで座り込むわけにも行くまい。

「ああ、そうだ。足を乗せれば動くんだ」

テレビで見た感じ、これであっているはずだ!

「ほんとだ! すごいや!」

スライドする自動ドア。
俺は勝った。
問題なかった。
さすが俺だ。
すごいぞ。
すごい。

店内を見回すと、いろいろなものが置いてあった。
本当にいろいろある。
コンビニも俺に負けないくらい凄い。
弟がカメラを取り出して言った。

「店員さん、写真お願いします!」

さすがマイ・ブラザー。
全く物怖じしないな。
こいつもすごい。
なんだか、世の中の全てがすごく思えてくる。
旅行っていいもんだ。


写真に写るポーズは、斜め40度と決めている。


両手にいっぱいのおみやげを持った帰り道。
弟がなにやら取り出してまじまじと見ている。

「なんだそれ?」
「店員さんからもらったの」
「へぇ」
「あの人、優しかったね」
「うん」
「……ああ、わかった。これ、こう使うんだ」

弟にはわかったらしいが、俺には分からない。
どう使うんだろう。
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by rei_ayakawa | 2008-03-05 12:10 | 空想

季節の変わり目

なにかと物憂げな季節になってきました。

免罪符を発行してください。
免罪符を発行してください。
免罪符を発行してください。
免罪符が発光!
免罪符を発行してください。
免罪符を発行してください。
免罪符を発行してください。

物憂げですね、なにかと。
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by rei_ayakawa | 2008-02-29 19:56 | 空想

すないぱあ

「あいつが『すないぱあ』か?」
「おう、あいつが『すないぱあ』だ」

夕暮れの街。
工場の煙突は赤い空にシルエットを垂れ流しているし、土手の上で踊る『すないぱあ』はノリノリだ。

「まさか、こんなところで『すないぱあ』に出会うとはな……」
「ああ、これが戦場の緊張感というやつか……油断するなよ」

僕たちは土手の下の草むらに身を伏せて、その様子をうかがう。

「くっそぅ。なんて見事な踊りなんだ。うかつに出ていけないな」
「ああ、出ていけば……大変なことになるぜ」

『すないぱあ』は相変わらずノリにノッている。
表情は逆光で見えない。
STEP TO STEP.
DANCE TO DANCE.
MISO TO SIO.
DOCHILA GA KONOMIKA.
僕はあることに気がついて、思わず声を上げた。

「あっ!」
「おい、静かにしろよ。気づかれるぞ」
「わ、悪い」

『すないぱあ』は踊り続けていて、こちらに気づいた様子はない。

「どうしたんだ?」
「そ、それが……思い出したんだ」
「なにを?」
「お前に貸した500円……確かまだ」
「それ以上言うな!」

彼は声を張り上げて立ち上がった。

立ち上がってしまった。

次の瞬間、彼にスポットライトがあたり、太陽がミラーボールになって、軽快な音楽が鳴り始めた。
彼は『すないぱあ』に見つかってしまったのだ。
もう助けられない。
彼は「ディスコ! ディスコ!」と叫んで踊りだした。
ノリノリだった。

僕は「ディスコは古い!」と叫びたかったが、まだ近くに『すないぱあ』がいるかもしれない。
とてもそんなことはできなかった。
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by rei_ayakawa | 2008-02-25 20:31 | 空想

一緒にワンダフル

「さぁ、行こうよ!」
「どこへ?」

「希望にあふれる未来へ!」
「ああ、それ俺と行き先が違うから無理」

「マジで?」
「うん」

「キップ買いなおせ」
「今から?」

「あたしはあんたと一緒がいーのー!」
「はっはっは。ユリは可愛いなぁ」

「はっはっは」
「はっはっは」
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by rei_ayakawa | 2008-02-20 20:02 | 空想

荒野のあんまん

対峙する二つのあんまん。
荒野に身を切る風が横切る。

あんまん(おっきいほう)が腰のホルスターに手をかけながら言った。

「決着をつけようじゃないか……さぁ、抜きな」

あんまん(ちっちゃいほう)はにやりと笑みを浮かべて答えた。

「いえいえ、そちらがお先にどうぞ」

まさに、譲り合いの精神を持った気高きマンである。

「いや、オレは後でいいよ。さ、さ、そちらからどうぞ」

あんまん(おっきいいほう)も負けずに譲り合いの精神を発揮。
二人の騎士道精神がぶつかり合う。

「じゃあ、コインが落ちたら同時にって事で」
「わかった。それでいこう」

あんまん(ちっちゃいほう)がコインを天高く放り投げた。

(腰のホルスターって具体的にどの部位だ?)
(手?)
(コインを手で天高く……)

「ま、待て!」

あんまん(おっきいほう)が声を上げてあんまん(ちっちゃいほう)を静止した。
しかし、時既に遅し。
コインが地面に触れると同時に、銃口から弾丸が放たれた。

あんまん(ちっちゃいほう)が、仰向けに倒れ伏したあんまん(おっきいほう)に声をかける。

「お前は最後になにを言おうとしたんだ?」

あんまん(おっきいほう)は最後の力を振り絞って答えた。

「き、気がついたのさ。大変なことに……」
「どういうことだ?」
「お、俺たちは……あんまんじゃ……ない……」

そこまで言うと、糸の切れた人形のように動かなくなった。

「お、おい、こいつの言ったことはマジなのか!?」

私があんまんと言っている以上あんまんだ。
信用するべきである。

「ああ、そうだよな、やっぱりな!」

あんまん(ちっちゃいほう)は安心した。
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by rei_ayakawa | 2008-02-18 19:43 | 空想

リバーシブル

「てめー、ぶっとばしてやんぜ」
「なにー。てめーこそぶっとばしてやんぜ」
「なにー。くらいやがれ」
「うわー、やられた」

嗚呼。
やられた。
私はやられてしまった。
故郷に残してきた妹は、無事だろうか。
それだけが気がかりである。
本当にそれだけだったであろうか。
何か忘れているのかもしれない。
ハンケチ、ティッシュ……財布も持っている。
忘れ物はなさそうだ。
筆箱もある。
教科書も全部持った。
おそらくは、大丈夫なはずだ。

「それじゃ、行ってきます!」
「いってらっしゃーい」

今日もいい天気だ。
私は学校への道を急いだ。
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by rei_ayakawa | 2008-02-11 20:45 | 空想