写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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カテゴリ:空想( 191 )

ある人の日記


11月2日

今日は晴れていました。


11月3日

今日は晴れていて、散歩日和でした。


11月4日

今日は雲ひとつない散歩日和だったので、外を歩きました。


11月5日

今日は雲ひとつない散歩日和だったので、外をぶらぶらと歩きました。


11月6日

今日は晴れていて散歩日和だったので、公園に行きました。


11月7日

今日は晴れていて散歩日和だったので、近所の広い公園に行きました。


11月8日

今日は雲一つない晴れた散歩日和だったので、外をぶらぶらと歩いて近所の広い公園に行きました。


11月9日

今日は近所の公園に行きました。


11月10日

今日は散歩日和でした。
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by rei_ayakawa | 2008-05-05 20:26 | 空想

マーメイド

人魚がやってくるという。
老人はそう話していたし、今は僕も確信している。
人魚がやってくるだろう。
水平線のかなたから、聞こえてくる声。

当初は老人と僕だけしかいなかった浜辺に、続々と人が集まってきた。
あの声に惹かれて。
僕はふと思いついて、老人に声をかけた。

「なんか手土産でも渡してあげたいですねぇ。人魚に」
「私もそう思っていたところだよ。なににしようか?」

さて、何がいいだろうか。

「地上ならではのものがいいですよね」
「となると、万歩計とかどうだろう」
「それはもはや嫌がらせに近いですよ。ルームランナーはどうです?」
「完全にオブジェですな」
「コンビニに行っていいものがあるか探してみますか」
「それがいい」

僕らがコンビニから帰ってくると、あの声は聞こえず、浜辺の人影も消えていた。

「みんな行っちゃったみたいですね」
「うむ。幾名か海面に浮かんでおるな」
「怖いですねぇ。人魚」
「怖いねぇ。人魚」

僕はおみやげとして買ってきた『うまい棒サラミ味』を海に投擲した。
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by rei_ayakawa | 2008-05-03 20:41 | 空想

チエ

彼女がチエと名乗ったので、僕たちは付き合うことになった。

チエはとても優しい子だ。僕はチエが好きだし、チエも僕を好きだと思う。何も問題はないのだけれど、彼女はマッハ3だった。

マッハ3というのは、音より速いのだ。具体的に言うと、音の三倍の速さだ。以前、浜辺で追いかけっこをした時は大変だった。

「うふふ、つかまえてごらんなさい」
「あはは、絶対無理」

そのまま彼女は南米にまで到達してしまったので、しかたがないから飛行機で後を追った。出費も手間もかかったけど、現地に到着して彼女の笑顔を見たら、そんな苦労も吹き飛んでしまった。

子供のころ、障害があればあるほど恋は燃えあがるという言い伝えを聞いた。

マッハ3でぶつかると、相手は死ぬ。チエはすごいから無傷。町中では音速の壁を突破しないように気をつけているらしいけど、たまにやってしまう。そんな少しドジなところも、たまらなくかわいい。

チエはとても優しい子だ。僕はチエが好きだし、チエも僕を好きだと思う。何も問題はない。

「いや、あるね」

声をかけてきたのは、買い物帰りのケンジだった。

「チエを賭けて、俺と勝負しろ」
「何故?」
「俺もチエが好きだからだ」
「お前、なにをいまさら……」
「タイミングを、見計らっていたのさ!」

何のタイミングかは分からないが、とにかくピンチだ。ケンジは確か、時速500キロだ。僕では勝てない。

「大体、おかしいでしょ。僕が勝手にチエを賭けて勝負しても、彼女の気持ちが動かないことには……」
「正論はいい。いくぞ!」

まさか正論の価値をこんな形で否定されるとは思わなかった。ケンジはクラウチングスタートの体勢をとった。まずい。やられる。

「私の為に争わないで!」

声がした。一陣の風が舞い、衝撃音が耳に響く。先ほどまでケンジがいた場所に、チエが立っていた。

「チエ……」
「ススム……」

よく見ると、チエの足元には血だまりが出来ている。おそらく、ケンジは死んだのだろう。

「ススム、私怖かったよ!」
「うん、僕も怖かった」

僕らは抱き合った。夕日が照らす街の影に、僕たちはいる。
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by rei_ayakawa | 2008-04-30 14:11 | 空想
「なんかこの曲っていいよねー。いや、死刑って感じ」
「そうかな? あんまり癒されないけど」
「だろうね」
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by rei_ayakawa | 2008-04-27 18:39 | 空想

現代版

「ゴホゴホ」

「おや、風邪ひいたん?」

「……な、何故わかった!!」

「へ? いや、だって咳しとるし」

「すごい推理だ! 天才だ! 名探偵だ!」

「え、いや、あの」

「何も言うな! 俺がワトソン。お前がホームズだ!」

「わ、わかった!」

「わかってくれたか! さすが名探偵だ! 凄えな!」
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by rei_ayakawa | 2008-04-23 22:32 | 空想

いたずら小僧

「もう! この子は何でいたずらばっかりするのかしら!」
「落ち着いてください、ママ。冷静かつ平和的に話し合いましょう」
「おしおきよ!」
「暴力は憎しみしか生まない。およしなさい」

ママの平手打ちがヒロシを襲う。襲ってきた以上、自分の身を守らなくてはならない。母に手を上げるのはとても辛いことであったが、ことここに及んではどうしようもない。

(真の達人とは、争いが発生する以前にそれを食い止められる者のことだと聞く。……俺はまだまだだな)

ヒロシは己の未熟を呪いながら、平手を左腕ではじき返し、右の正拳をママの腹部に叩き込んだ。崩れ落ちるママ。涙を流すヒロシ。

「くっ、すまぬ……。俺が未熟なばかりに!」

夕日がヒロシの頬を照らすのであった。
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by rei_ayakawa | 2008-04-19 18:34 | 空想

ボブ

「ここはどこですか?」
「ここはボブです」

ボブらしい。聞いたことのない地名だ。どうやら、知らぬ間にずいぶん遠いところまでやってきてしまったようである。去り行くおじさんの後姿を見ながら、私は考えていた。『ボブ』ってどういう漢字で書くのだろうか。母部?

なにはともあれ、帰らなければならない。緑葉の隙間から射し込む日の光が、路面を照らしている。駅にたどり着くには、どちらへ向かえばいいのだろうか。おじさんにもう一度聞いてみようと、その後姿を追った。

「すみませーん、ちょっと……」
「あああああああああ!」

おじさんがいきなり絶叫をあげると、彼の背負ったバックパックからジェットが噴出し、おじさんを天高く運んで、私は呆然として、おじさんの姿が見えなくなって、私は「なんで?」と呟いて、駅までの道はわからないし、看板もないし、もうどうしたらいいのかさっぱりわからなくて、膝を突いて落ち込んでいたら、おじさんがゆっくりと空から降りてきて、着陸成功。

「おや、あなたでしたか。いきなり後ろから話しかけられたから、通り魔に殺されるかと思ってしまいましたよ」
「さっき話しかけたときは大丈夫だったじゃないですか!」
「いや、あれは側面からでしたから。ははは」

世の中にはいろんな人がいるんだ。生きることは大変なんだ。とにかく、そういうことはわかった。勉強になった。

「え、えっと、それはいいんですけど、ちょっとお聞きしたいことがありまして」
「どうぞどうぞ、私はこの辺のことには詳しいですからね。なんでもお聞きください」
「ありがとうございます。駅はどこですか?」
「駅はボブです」
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by rei_ayakawa | 2008-04-16 07:21 | 空想

運命的カップル

「天井と天丼の違いについて真剣に考察しようと思う」
「へぇ」

一応彼の立場はマイ・ラバーということになっているのだけれど、本当にそれでいいのだろうかと思うときもある。たとえば、今みたいな状況に直面したとき。

「天井と天丼は非常に似ている。違いは『井』の文字の中央に点があるかないかだけ。一見そう思ってしまうわけだが……」
「うん」
「しかし、本当にそうだろうか?」
「違うっしょ」
「君は頭がいいな」
「それほどでも」
「まず、『天丼』は出前で取れるが、『天井』は出前で取れない。これは大きな違いだ。『天丼』が必要なときは電話一本で取り寄せられるのに、『天井』が必要なときに電話をかけてもすぐに持ってきてはくれないのだ!」

何でこいつと付き合ってるんだろう?

疑問に思った回数は数知れない。本人は自分のことを「真実を追い求める求道者」とかほざいてるけど、ただの馬鹿という説がわたしの中では有力だ。

「さて、次に」
「もういいよ」
「何故?」
「興味ないもん」
「無気力な若者の典型だなぁ」
「そんなところに気力使いたくないよ」

彼は「ふん」と鼻を鳴らし、口元に手を当てて考え込むような体勢に入ってしまった。黙っていれば結構かっこいい。知性的にも見える。こういう姿を見るたびに、神様は残酷なことをなさったと思う。

「待て、今大変なことに気がついたぞ!」

急に彼が声を上げた。

「『天丼』は食えるが、『天井』は食えない!」

つ、疲れる……。

「その発見についてわたしはなんてコメントしたらいいと思う?」
「褒めていいよ」
「すごいね」
「サンキュ」

別に顔に釣られたつもりはないんだけどなぁ。

もちろん、顔以外にいいところが無ければとっくに別れているんだけれども、それらの美点が欠点を凌駕しているかと聞かれたらなかなか難しいところだと思う。今だって、「この研究成果を学会に発表するべきだろうか?」って真剣な顔で聞いてきてるし。どうするよ、こいつ。

「しかし、論文にまとめるとなるとめんどくせぇしなぁ。うーむ、迷うところだ」

それなのに、不思議と別れようって気も起きない。なんでだろ?これこそまさに『運命の相手』という見方もできなくは無いけど、認めるのはかなり癪だ。

まぁ、流されすぎるのも良くない。ここは一つビシッと言っておかないと。

「ていうかさ、もうちょっと高尚な話をしようよ。くだらなすぎるんだよね、考えることが」
「高尚な話ってなにさ」
「たとえば、『冤罪』と『変態』は何故似ているのかについての考察とか」
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by rei_ayakawa | 2008-04-13 21:31 | 空想

千手観音像型置時計

千手観音が!
千手観音が!
千手観音が!
迫ってくる!

声を上げて!
声を上げて!
声を上げて!
迫ってくる!

「腕が邪魔! 腕が邪魔! 腕が邪魔! 腕が邪魔! 腕が邪魔! 腕が邪魔!」

うわああああ……!
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by rei_ayakawa | 2008-04-11 00:39 | 空想

春爛漫

その男は、旅先で桜吹雪に遭遇し、凍死しました。
その男は、生前、事あるごとに云っていたそうです。
「俺が死んだら、残念だ」
実に残念なことでした。

その男は、頭の中が常に春爛漫でした。
その男に、ふさわしい最後だったのかもしれません。
その男は、常に一人で昼食を食べていました。
いくら春とはいえ、凍死もするでしょう。

その男は、サトシくんによく云っていました。
「お前の股間は、俺が見た時いつも隆起しているな」
嫌がらせのつもりは無かったそうです。

その男は、ユカリちゃんによく云っていました。
「おっぱいボーン! ボーン!」
裁判にまで発展しました。

云ってしまいました。
「なんでどいつもこいつも大学生の癖にこんなガキっぽいわけ?」
その男ほどではありませんでした。

希望する進路は公務員。
「やっぱり、堅実に生きないとね」
趣味はネットゲーム。
「恋愛シミュレーションなんかするやつは人間終わってるよ」
縦笛は舐める物という固定観念がある。
「ポリシーは、ポリシーを持たないことかな」
何故かむやみやたらと人の話に割り込む。
「相手を敬うことが、一番大事なのさ。恋愛ってのはね」
いつも何かにおびえていた。
 
その男の話は、ここでおしまい。
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by rei_ayakawa | 2008-04-08 01:34 | 空想