写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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カテゴリ:空想( 191 )

パンチじゃなくてキック

1年生になったら、友達100人出来た。

それはそれで嬉しいのだが、一つだけ問題があった。全員、異様なまでにスフィンクスが好きなのである。

「おはスフィンクス!」

登校途中の僕に、カオリが声をかけてきた。あまりにも無理のある挨拶と言えよう。

「やあ、おはよう」
「違うよ。おはスフィンクスだよ」

知らんよ。

僕は野球が好きだ。しかし、だからといって朝の挨拶を「おはベースボール!」にしようと考えた瞬間は今までの人生に存在しなかった。人生という長い道程の歩み方は、実に人それぞれである。これまでに友達100人から何度も説得されてきているが、僕は僕の道を行こうと思う。「おはスフィンクス」とは、言わない。

「よう、お二人さん。おはスフィンクス」

続いて、声をかけてきたのはヨウジだった。見ると、タケシとシンヤも一緒だ。自宅から学校までの徒歩10分の道のりで、総勢60人程度にまで膨れ上がるのがいつものパターンである。

「おはスフィンクス!」
「おはスフィンクス!」
「おはスフィンクス!」

繰り返される挨拶。日常の風景。スフィンクス好きの大行進。僕はただ一人スフィンクス好きではないが、別にみんなもスフィンクスの話題ばかりしているわけではないので、普通に会話は出来る。とりあえず、近くにいたシュウジに話題を振ってみた。

「昨日遅くまでゲームやっちゃってさあ。すっげー眠いんだよな」
「へぇ。ゲームって、スフィンクスの?」

そんな物は持っていない。

校門をくぐってしばらく歩いた時点で、異変に気がついた。

「なんか今日、多くね?」

シュウジはにんまりとした表情を浮かべている。カオリもなんだか嬉しそうだ。

「気がついたか。今日はいつもと違って、100人全員が集結しているからな」
「マジでか。すごいな」

見回せば、確かに普段登校時には目にしないアキヒコやユリの顔が見える。

「今日はお前の誕生日だろ? 全員で祝おうと思って、通学路が重ならないやつらにも校門で待っていてもらったんだ」
「いや、それはありがたいが、なにも朝っぱらからやることは無いだろう」
「放課後に用事あるやついたから、100人全員集まれるタイミングがここ以外に無くてさ」

動揺していると、100人がかりで校庭に連れ出された。続いて、僕を中心に100人が円陣を組むという壮絶な状況が校庭に出現。シュウジが声を張り上げた。

「ハッピーバースデー! サトシ!」

それが合図だったのだろう。残り99人も一斉に声を上げる。

「ハッピーバースデー! サトシ!」

すさまじい規模のハッピーバースデー。すげえ。友達100人ってすげえよ。皆の気持ち、心に染み渡ったぜ。そんなことを考えながら目頭を押さえていると、カオリが歩み寄ってきて言った。

「それで、プレゼントなんだけど……」

ああ、わかってる。どうせスフィンクス関連なんだろう。大丈夫。皆の気持ちが嬉しいよ。スフィンクス柄の小銭入れとかでも文句言わねえよ。

「100人皆で考えたんだ。結構もめたんだけど……結局、実用的なスフィンクスがいいよねって話になって、これに決まりました。どーぞ!」

次の瞬間、校舎が二つに割れた。分割された校舎は両サイドにスライドしていき、お互いの距離が100メートルほどになったところでストップ。唖然としている僕に、シュウジが一枚の紙切れを渡してきた。

「これ、スペックな」


汎用スフィンクス型決戦兵器 スフィンティア壱号機

全長 73メートル
重量 5万トン
武装 口   レーザーキャノン
    目   火炎放射器
    両耳  サイドバルカン
    胸部  大型ミサイル
    両前足 ロケットキック


真二つにされた校舎の間から、徐々にせり出してくるスフィンティア壱号機の雄姿。僕はどう反応していいのか分からなかったが、100人の友達は皆とても満足げだ。とりあえず、シュウジ君の意見を聞いてみることにしよう。

「これを僕にどうしろと?」
「乗れよ」
「これから、宇宙生物が襲来するとか?」
「はは、意外と子供っぽいこと考えるんだな」
「使い道は?」
「かっこいいだろ?」

僕が頭を抱えていると、なにやら間の抜けた「あ」という呟きが聞こえた。声の主は、リエだった。両手で持ったコントローラーを見つめながら、口を半開きにして目を見開いていた。少々顔が青ざめているような気も。どうやら、彼女がスフィンティア壱号機の出撃を管理していたようだ。

「ま、間違えちゃった」
「どうした!?」

シュウジが急に狼狽した様子になって、リエのそばに駆け寄った。いつもクールな彼が、こんな姿を見せるのは非常に珍しい。やはり、それだけの情熱がかかっているのだろうなぁ、あれには。

「何を間違えたんだ?」
「そ、それが……このままだと、スフィンティア壱号機が宇宙へ飛び出してしまうわ!」
「な、なんだって!?」

そんな機能までついていたのか。僕が感心していると、周りがざわめきだした。「どうする?」「まずいな」「このままじゃ、プレゼントできなくなっちゃう」「とりあえずプレゼントだけはしとかないとな」「今のうちに乗せちまおう」「うん、それがいい」なにやら不穏な空気になってきた……と思ったが早いが、友達100人に引っ張られ、スフィンティア壱号機のコクピットに突っ込まれ、宇宙のどこかの星に着陸した。

帰り道は分からない。どうするかなぁ。





この文字列について
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by rei_ayakawa | 2008-07-03 22:56 | 空想

改造手術

お目目がパッチリ

開いてしまったという状況に私はどう対処すればいいのだろうかお母さんああお母さんクルリとパッチリ開いてしまって胸はドキドキ肉はモリモリお母さん明日にはお父さん忘れはしないよあなたのことをおそらく多分何気なくバナナはまるごと食べられるからさっちゃんほどかわいそうじゃないし日曜日にはサザエさんで憂鬱になるけどそんなことはきにしないでいいよ

句読点を奪い去る手術は成功したようです。

精神的な錯乱が被験者のまぶたに垣間見えます。

いかがなものでしょうか。

うん、悪くないんじゃないかな。

どうでもいいけど先日3日連続でパンチラを目撃しました凄いことだと思いませんか下手したら近いうち私は死ぬかもしれませんはっきり言いますとこんなところで幸運を使いたくなかった使い切ってしまった気がします大体にして昨今の婦女子はパンチラに対する警戒心が足りないそう断言せざるを得ない3日も連続したならばそんなにパンツチラチラさせたいか俺の幸運を返せボケナス

どう思いますか?

3日連続は凄いな。
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by rei_ayakawa | 2008-06-29 16:13 | 空想

トイレット

まずい、トイレはどこだ。

私は焦っていた。それはもう著しく焦っていた。まさかトイレを取り逃がすとは思わなかった。このままでは、漏れる。

「おーい、トイレ。どこへ隠れたんだい。でておいでー」

近くの茂みに頭を突っ込んで呼んでみたが、応答はない。代わりに、私の腹からおどろおどろしい返事が聞こえた。お前はいい。お前はしなくていいんだ。緊迫した状況である。もはや一刻の猶予もない。下手に動くとドカンと行く可能性があるので、必死であたりを見回してトイレの影を探した。無駄に広いぞ、この公園。

突然の便意を感じ、慌てて近くの公園に駆け込んだまではよかった。トイレも入り口近くにあった。私は猛然とダッシュしたつもりだったが、人間におのずから備わっている防衛本能が働いたのであろう。ひよこのような走り方にしかならなかった。自分で見ることができたわけではないが、おそらく形相は必死。あまりにも常軌を逸した光景に恐れをなすのも無理はないと言える。トイレは逃げた。逃げてしまった。

完全に想定外の状況であるが、こうした時こそ窮地を脱するための冷静さが必要である。現状を整理してみよう。周りを見渡しても、トイレは見つからない。下手に動けば漏れる。じっとしていても、後僅かの時間経過で漏れる。冷静に考えた結果、漏らすしかないという結論に至った。死のうか。

いや、それはいけない。自殺はよくない。自殺なんて、弱い人間のやることだ。いいじゃないか、漏らしても。命はかけがえのない大切なもの。死ぬくらいなら漏らそう。私は叫んだ。

「死ぬくらいなら漏らそう!」

ベンチで寝ていたホームレスが、驚き飛び起き叫んで言った。

「死ぬくらいなら漏らそう!」

砂場で遊ぶ子供たちも、頷きながら言った。

「当たり前じゃん!」
「死ぬくらいなら!」
「漏らそう!」

子供たちの母親と思しき主婦たちも、私を見つめて言った。

「死ぬくらいなら漏らすべきだわ」
「そうよ、なにも死ぬことはないわ」
「死ぬくらいなら漏らしましょう」

ああ、やっぱりみんなそう思っているのか。私は安心した。後しばらくで漏らすだろう。それでも私は安心だ。あと数瞬で漏らすだろう。それでも私は安心だ。

なぜなら、命は尊いのだから!
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by rei_ayakawa | 2008-06-25 22:28 | 空想
「ゆーじくんなんかきらいだ! せんそうだ!」

タカオは裂ぱくの気合を込めて叫んだ。それを受け、ユウジは毅然とした態度で、右腕を前方に向けてぴんと伸ばしたのであった。掌は開かれていよう。

「まちたまえ! それはおかしいのではないですか」

ユウジの声がWorldに響くのだ。タカオのWordも放たれるのだ。

「なにがおかしいんだよ! せんそうだ! せんそうだ!」

ユウジが落ち着き払って説得に取り掛かることは、太古の世界のえらぶった老婆によって予言されている。

「おちつくのです。わたくしをきらうのはかまわないのですが、だからといってせんそうをするなどというのは、じんどうにはんすることであるとおもわれます」
「うるさい! きらいでなにがわるい!」
「わたくしがのべているのは、そういうことではないのですよ。そうぞうしてみてください。あなたのははうえが、ずじょうにかがやくてんたいのひとつとしてあなたをみまもっていたとしたら、いまのあなたのすがたをみて、かのじょがどうかんじるでしょうか。こうさつしてみてください。こうさつしてみるべきです」

ユウジの勧めに従いタカオが考察を開始することは、まったく不自然なことではない。何故なら、タカオは頭が悪くない上にバカだからだ。考察を完了したタカオは、天を仰いで叫ぶだろう。

「わかったぞ! せんそうだ!」
「まちたまえ!」
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by rei_ayakawa | 2008-06-21 01:52 | 空想

優良学級賛歌

幸子先生が教壇に立つと、生徒たちは一斉に立ち上がり、背筋を伸ばしました。

「皆さん、こんにちは」

幸子先生が礼をすると、生徒たちも「こんにちは」と復唱し、一斉に頭を下げました。

「はい、着席してください。皆さんは実に優秀ですね。私のよろしい教育方針のおかげで、高学年としての自覚も生まれてきたようで、まことによろしゅうございますことよ。さて、今日は教科書の36頁を開いてください。そこから40頁にかけて、家で勉強してきてくださいね。教科書をしまってください。プリントを配りますので、後ろの人に回してあげてくださいね。全員に行きわたりましたか? それでは、早速始めましょう。田中一郎君、プリントの最初に書かれている単語を読み上げてください」

田中君は「はい」と大きく返事をし、座ったまま背筋をぴんと伸ばして、大きな声で読み上げました。

「『セックス』」
「はい、よくできました。今日は先生の趣味に従い、皆さんにエロい単語をバンバン読み上げてもらおうと思います。子供にエロい単語を言わせるって、背徳的な感じがしていいですよね。なんだか、自分がとてもえらい人間になったかのような気分です。次は木内優子さん、お願いします」
「『○○○』」
「ああ、素晴らしいですね! 全年齢向けブログでは流石に伏せ字を使わざるを得ないのが難点ですが、実に素晴らしいです! よくぞ、そこまで堂々と読み上げてくれました。先生は感激しています! ……ああ、ごめんなさい。少しテンションが上がりすぎてしまいましたね」

幸子先生は心を落ち着けるため、胸に手を当て、○○○が○○○○で○○○○している光景を想像しつつ○○○○しました。すると、不思議なことがおこりました。先生のテンションが、さらに上がってしまったのです。

「あー、セックスしてえええええ!」

両手をかかげて吼える彼女と、表情を変えず微動だにしない生徒たちの様子を、廊下から覗き見ている人影がありました。

「このクラスは素晴らしいな……。生徒たちは従順だし、学級崩壊の兆しも見えない。よくぞここまで育て上げたものだよ、幸子先生」

校長先生のまなじりに、涙がきらりと光りました。
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by rei_ayakawa | 2008-06-15 16:43 | 空想

ノコギリ

「ノコギリ欲しい」と彼女がねだってきたのだが。

「何故ノコギリが欲しいの?」と僕が聞くと、「主にギザギザを楽しむため」と答えた。彼女のギザギザ好きにも困ったものだ。ところで、僕の朝食はプリンだった。プリンはギザギザしていない。この事実を伝えるべきだろうか。それとも、伝えぬべきだろうか。

プリンはプリンとしている。この事を伝えたら、彼女は僕のことを嫌いになってしまうかもしれない。僕は迷った。

「ノコギリ買ってー、買ってー」
「うるさい、黙っていろ。ただ今考え中だ」
「トゲトゲしいのは、嫌だよ」

わがままな女だ。大体、ギザギザしてたら必然的にトゲトゲしてるだろうが。僕はだんだん苛立ってきたし、全てがどうでもよくなってきた。いいんだ。言ってしまおう。どうってことはない。知ったことじゃないさ。僕は叫んだ。

「僕の朝食はプリンだ!」

彼女の顔から血の気が引いた。僕はひるまなかった。続けざまにまくし立てる。

「僕の朝食はプリンだ! プリンなんだ!」

彼女は泡を吹いて、スローモーションで倒れた、ように見えた。そんなにショックだったのか。僕は好かれていたのかもしれないな、と思った。泡を吹いた女性は、元がどうあれ、やはりあまりキレイではなく。

ああ、ノコギリが欲しい。
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by rei_ayakawa | 2008-06-10 22:13 | 空想

定期

君たちと出会ったのは、桜の花びら舞い散るタイミングでしたね。
あの時僕は若かったし、君たちも若かった。
君たちは花びらを集めていましたね。
花びら集めて、墨汁ぶっかけて「汚してやった!汚してやった!」と騒いでいましたね。

未だに君らはやっていますね。
僕は周りで見ています。
反復横とびを全力でしながら見ているんだ。
そろそろ、限界かもしれない。
体力的に。

さようなら。
さようなら。

架空の駅で定期を使うよ。
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by rei_ayakawa | 2008-06-07 19:16 | 空想
石田先生に弟子入りしたのはいいが、これといって何も教えてもらえない。

先生は青汁を、毎日欠かさず飲んでおられる。飲む時はなぜか和室にこもって飲むのがお決まりで、僕は先生の後ろに控えている。今日も、先生は黙々と青汁を飲んでおられる。僕は聞いてみた。

「先生、青汁がお好きなのですか」

先生は答えた。

「プライバシーの侵害じゃ」

また何も教えてもらえなかった。先生に弟子入りして十日が過ぎたが、こんなことばかり続いている。僕は忸怩たる思いを抱えつつも、これ以上突っ込んで聞くのは先生に失礼な気がして、話題を切り替えることにした。

「隣の塀に囲いができたそうですよ」

頼む、「へー」と答えてくれ。

「かっこいー」

そっちか。

僕は先生のことが知りたいのだが、いまいちよくわからない。僕が黙り込んでしまうと、先生は一言もしゃべらなくなってしまう。正座の姿勢を堅持し、正面を向いたまま一点を見つめ続ける。視線の先には、壁しかないのに。

恐ろしい。僕には、先生が恐ろしい。

「何か教えてください、先生」

「いやじゃ」

そう言うと、先生はまた口をつぐんでしまった。
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by rei_ayakawa | 2008-05-31 22:37 | 空想

列車

「天国行き列車が参ります。乗車券は不要です。ご希望の方は誰でもお乗りになれます。繰り返します。乗車券は不要です。乗車券は不要です。乗車券は不要です。列車が到着します。列車が到着しました。しかし、お気になさらず。飛び込み乗車も大歓迎です。行きましょう。共に行きましょう。アリバイ作りの必要はありません。誰かに糾弾される必要もありません。行きましょう。行きましょう。共に行きましょう。後発の列車でも構いません。いつかは乗れましょう。そのうち乗れましょう。それでは、そろそろ出発いたしましょう。あ、誰か扉に挟まったようです。中止します。出発は中止されます」
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by rei_ayakawa | 2008-05-17 20:05 | 空想

我々

ラーメン屋で、天井近くの棚に備え付けられたテレビを見ていた。ボーッと見ていた。これは音楽番組なのだろうか。司会者らしき初老の男性と、ピアスやらチェーンやらを身につけたパンクスタイルの若者が4人、画面に映っていた。

「皆さんに自己紹介をお願いします」
「我々はフリーセックス」
「ありがとうございました。それでは続きまして」
「フリーセックス」
「違います」

なぜ違うのだ。俺は疑問に思った。我々はフリーセックスであり、世の中もフリーセックスであり、政治家はフリーセックスであり、妊婦はフリーセックスなのではないのか。つまるところ、続きましてもフリーセックス。そうであるべきである。フリーセックスである。我々はフリーセックスである。

「そう思わないか?」

同席していた美香に同意を求めてみた。

「思うね」

やはりか。俺は続けて聞いてみた。

「注文決まった?」
「フリーセックス」
「フリーセックス二つお願いします」

俺の注文を聞いたラーメン屋の親父は、顔色を変えて叫んだ。

「違います!」

そんなわけはない。我々はフリーセックスだ。注文はフリーセックスであるべきだし、店主もフリーセックスであるべきだ。それ以外の回答がどこに存在するのか。フリーセックスによるフリーセックスの為のフリーセックスはどこへ行ってしまったのだ。番組は、いつの間にかニュースに切り替わっていた。まだ若い女性アナウンサーが原稿を読み上げている。番組もフリーセックスであるべきだ。

「容疑者は、犯行の動機を『あなたのため』と説明しているとのことです。続きまして」

俺は呟いた。

「フリーセックス」

アナウンサーが叫んだ。

「違います!」
 
お前も分かってはくれないのか。
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by rei_ayakawa | 2008-05-09 21:07 | 空想