写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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カテゴリ:空想( 191 )

ホームで電車を待っていると、隣のおっさんが「荒ぶる魂!」と叫んだ。

ほほう、荒ぶっているのであるか。
魂が荒ぶっているのであれば、公共の場で唐突に叫び声をあげたくなるのも致し方ない。
俺はあんたを責めないよ。
なんだか優しい気持ちになった。

引き続きホームで電車を待っていると、隣のおっさんが「スピニングダンス!」と叫んだ。

何事かと思い視線を向けたら、おっさんがその場でひたすらクルクルと回り続けているだけだった。
スイカでも割る気なんだろうか。
これをダンスと認めるには、俺はあまりにも若すぎる。

未熟。
未熟だ。

カサカサという音が聞こえた。
カブトムシが這うようなあの音。
そういえばスイカを餌に与えた記憶がある。
いい加減昔のことなので、よく覚えてはいないが。

引き続きホームで電車を待っていると、隣のおっさんが「フライングバタフライ!」と叫んで線路に舞い降りた。

「おいおいミンチになるぞ」と思ったが、そんなことよりカサカサうるさい。
耳を澄ませて音の出所を探ると、どうやら耳の奥から聞こえてきているらしい。

カサカサ、カサカサ。
音はやまない。
どこからか「ブレイクザウォールダウン!」という声が聞こえてきたような気もしたが、そんなこと気にしている余裕はない。

引き続きホームで待ち続けている。
電車はまだこない。
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by rei_ayakawa | 2011-11-12 22:31 | 空想

オプティミズ村への招待

オプティミズ村は愉快な所。
オプティミズ村はシュールな所。
オプティミズ村はファンキーな所で、
オプティミズ村はグレイトな所。

どうぞ。
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by rei_ayakawa | 2009-01-06 21:24 | 空想
「ほっほっほ。今日も世界中の良い子のみんなにプレゼントを届けに行くのじゃ。トナカイ、ほれ、急いで飛んでおくれ」
「僕になんか期待しないでくださいよ。どうせ、僕は赤い鼻ですよ」
「何を拗ねておる。おお、そうか。またみんなに何か云われたのじゃな。気にすることはないぞ。暗い夜道では、ピカピカのお前の鼻が役に立つのさ」
「サンタさん! それは本気で言っているのですか?」
「おお、もちろんじゃ」

「嗚呼! それはなんたることでしょう! サンタさん、落ち着いてください。いくら僕の鼻が赤くてピカピカだと云っても、暗い夜道において、ヘッドライトの役割を果たしてくれるほどピカピカであるはずがありましょうか! 確かに、相手から見えやすくなる程度の意味合いはそこにあるかもしれませんが、我々の行く先を照らしてくれるなどという神々しき恩恵は全くと言っていいほど期待できません。さらに、我々が行くのは空。空なのです。対向車の心配はありませんし、すれ違うのは飛行機だけ。搭乗員が僕の鼻の輝きを認識するころには、すでに僕とサンタさんは地上へと向かって華麗なる墜落を遂げてしまっているはずなのです! ああ、サンタさん。それでもなおかつあなたは、僕のこの忌まわしき鼻が役に立つとおっしゃることができますか?」

「あ、えーと、その」
「だとしたら、あなたは既に正常な判断力を失っています! 子供たちにプレゼントを配っている場合ではなく、一刻も早く我々は空から降りて、あなたの操縦ミスによる事故を阻止するために動かねばなりません。サンタさん、僕は一時の慰めなどよりも、確実な任務の遂行を望むのです!」

「ああ、ごめん、わかったよ。さすがに役に立つとは云えんわな。うん」
「ですよねー。だから、僕に何か期待しないでくださいよ」
「拗ねるなよう。しかしじゃな。今のやり取りで、お前が非常に高度な論理的思考能力を持っており、いざ仕事となるとそれを存分に発揮できる偉大さをも備えていることを確認できたぞい。やはり、お前は頼りになるやつじゃよ」
「でも、鼻は赤い! 嗚呼!」
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by rei_ayakawa | 2008-12-24 19:58 | 空想
この文字列について

この文字列は「トラバでボケましょう 2008 夏~秋 レベル10」お題発表ッス!参加文字列です。
お題はこちら。
「恋文」(ラヴレター)





「ボケとは何だ」
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by rei_ayakawa | 2008-10-31 23:10 | 空想

格差社会のカウボーイ

「治りませんか」
「治りませんね」

なんということだろう。

開拓の栄誉を経験した私が、かような持病持ちになろうとは誰が想像したであろうか。その上、目の前の医師の言葉を信じるなら、この病気はマジで決していかようにしても治らんものなのだ。非常に残念だが、どうしようもない。

「どうしようもない」

思わず呟いていた。

「ええ、どうしようもありません。しかし、別に放置しておいても死ぬわけではありません。多少日常生活に差し支えはありますが」
「差支えがあるんですか。どうしようもないですね」
「何がですか?」
「いや、別に、何がというわけでもありませんが。あえて言うなら、私の存在自体がどうしようもないです」
「そこまで悲観的にならなくても」
「それはそう思いますが、先ほども先生のおっしゃったとおり、自分ではどうしようもないです」
「ふむ。そうですか。まあ、今みたいな発作が時たま起きるとは思いますが、命には別状はありません。頑張って生き抜いてください。ごきげんよう」

病名を〈DYK症候群〉と言うらしい。〈(D)『どうしようもない』というセリフを(Y)やたらと(K)口に出したくなる症候群〉の略だそうだ。

最初に異常を感じたのは、私が懸命に職務に当たっている最中のことであった。

「死ねえ。汚い蛮族どもめ。死ねえ」
「はっはっは、相変わらずタケシは絶好調だぜ! あ、タケシ、あっちの敵も頼む」
「どうしようもない」
「うわー!」

セリフを発しただけで、本当にどうしようもない気分になってくる。結果として味方を見殺しにしてしまったことは非常に暗澹たる気持ちを呼び起こすが、どうしようもない。

以降は、どこにいても容赦なく発作が起こるようになった。

「今日は少し味付けを変えてみたんだけど、どうかしら?」
「どうしようもない」

離婚騒ぎにまで発展した。どうしようもなかったので別れた。

「130円になります」
「どうしようもない」

言いながら払った。130円相手に果てしなく渋っているように見えたであろう。このような形で私の品位が損なわれてしまうのは、耐えられないほどに辛いことだった。しかし、まあ、どうしようもない。

「い、命だけは助けてくれ!」
「どうしようもない」

射殺した。この辺は普段どおりだから、別に何の問題もなかった。

それにしても参った。一生この病と付き合っていかなければならないとは。何かにつけて「どうしようもない」とばかり言っていては、周りからどうしようもない人間と思われてしまう。とはいえ、病気ばかりはどうしようもない。治せないなら、別の角度から物事を考えていかなければどうしようもない。

ここで、私は一つの重用すべき発想に出会った。木の葉を隠すなら、森の中。「どうしようもない」を流行語にしてしまえば、私が目立つことはないではないか。素晴らしくどうしようもない思い付きである。

私はTV番組のプロデューサーをやっている友人に相談した。この友人もまたどうしようもない男で、「なかなか面白い思い付きかもしれないよ」などと言いながら、新たな番組企画を立ち上げてしまった。凄まじい大英断だとは思うが、なんかもうどうしようもない。





「はい、皆さんこんにちは。〈どうしようもない講座〉のお時間です。今日は第一回ということで、〈どうしようもない〉の基本から皆さんにお教えしていきたいと思っています。まず、発音です。

どうしようもない。

はい、繰り返してみてください。もう一度行きますね。

どうしようもない。

正確なイントネーションで発音することが何よりも大事です。間違えて〈胴SHOWもナーイ!〉などと発音してしまうと、全然どうしようもなさが伝わらなくなってしまいます。お気をつけください。

それでは、もう一度行きますね。

どうしようもない。

出来ましたか? それでは次は、早口で発音してみましょう。

ドウシヨウモナイ

次は、一語一語はっきり発音してみましょう。

ど う し よ う も な い

次は、ため息混じりに発音して見ましょう。

どうしようもない……。

次は、小バカにするように発音して見ましょう。

どうしようもない(苦笑)

それでは、最後にもう一度。

どうしようもない。

うまく出来ましたか? え、どうしようもない? それはよかった。次回は〈どうしようもないの歴史〉についてお話いたします。どうぞ、お見逃しなく。

では、〈どうしようもないソング〉を聞きながらお別れしましょう。いやー、どうしようもない(苦笑)」


♪どうしようもない
人生はどうしようもない
どうしようもないさ
だから、落ち込むなよ
どうしようもないんだから
くよくよしたって仕方がないさ
どうしようもない
ああ どうしようもない
マジにどうしようもない♪





なぜか流行語大賞をとった。この国、どうしようもない。





この文字列について
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by rei_ayakawa | 2008-10-11 23:01 | 空想

「犯人に告ぐ! 飯は朝昼晩三食ちゃんと食え。そして……社会を変えろ」

「けっ、知ったことかよ。それ以上近づくと、人質の命はないぞ」

「犯人に告ぐ! 歯ぁ磨けよ。そして……社会を変えろ」

「いや、知ったことかって。いいから、さっさと車用意しろ」

「犯人に告ぐ! 火遊びはやめろ。そして……社会を変えろ」

「火遊びじゃなくて銀行強盗だし、社会は変えねえよ……」

「寿限無寿限無、五劫のすりきれ、海砂利水魚の水行末、雲来末、風来末、食う寝るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命の長助に告ぐ!」

「違えよ!」

「犯人に告ぐ!」

「しつこいな」

「給料を上げろ!」

「本当に知らねえよ!」

「まぁ、そろそろ社会を変えてみたらどうかな?」

「緩急つけても無駄だと思うなあ」

「でも、社会を変えればいい事尽くめさ」

「なにが?」

「きっと、モテるぞ」

「俺、社会を変えるよ!」

「その意気だ。今だ、自爆だ!」

「任せとけ。そいやぁ!」


ボーン





この文字列に告ぐ
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by rei_ayakawa | 2008-09-23 23:50 | 空想



序章


ただぼんやりとした不安に包まれていたら、なんか足元見えなくてつまずいてズザーッとこけた。

気がつくと、それは不思議なことに、嵐の海に立っていた。荒波が押し寄せてくるが、海面に立っているので、なんとなく無敵な気がする。なにせ、海面に立っているのだ。力があふれすぎて、ついつい博多弁になりそうな気がする。しかし、おそらくはなるまい。私は博多弁を知らないのだから。

ほら、来たぞ。波だ。荒涙。雨も風も気にはならない。これほどまでに無敵なのだから、波に飲み込まれても大丈夫であろう。うおー! 私は死んだ。

なんという人生の落とし穴だ。




第一章


「ここだよ」

「ん? なんだ、この穴は?」

「これが人生の落とし穴というものだよ、マイケル」

「ふむ、ジョニーはここに落ちてしまったというわけかい」

「うむ。あそこの穴につまずいて、こっちの穴に落ちてしまったらしい」

「つまずいたほうの穴はなんなんだい?」

「人生の落とし穴は、一つじゃないのさ」




第二章


「ジョニーがどんなマンだったかって? そりゃーもういいマンだったさ。サムよりもいいマンだったね。サムの3割り増しくらいはいいマンだったよ。サムがどんなマンかって? 3人殺してるよ。HAHAHA!」




第三章


「明日が見えない……」

「いや、待て、あそこを見ろ!」

「え? ……あ、見えた! あれが明日か!」

「ああ、おそらくはな」

「なんていうことだ。明日が見えるなんて」

「まったく、驚きだぜ」

「とりあえず、明日は雨らしいな」

「うむ。それは間違いあるまい。どっからどう見ても晴れには見えないからな」

「くっそぅ、なんたることだ」

「雨だと不都合なことでも?」

「雨は嫌いなんだ」

「まぁ、俺も好きじゃないな」

「雨か……」

「そんな些細なことより、明日が見えたというこの事実を喜ぼうじゃないか」

「ここにジョニーがいれば、そうもできたんだけどね」

「ああ……」

「あいつ、俺よりも明日を見たがっていたからな」

「そうだな。無事でいてくれるといいんだが」

「穴に落ちたらしいからな。おそらくはもう……」

「ああ、おそらくはもう……ダメっぽくなってるだろうな」

「かわいそうに!」




第四章


「ジョニーが穴に落ちてからもう三年が経ったわね」

「そうだね」

「彼は穴から出られのたかしら?」

「どうかな」

「どうかしらね」

「そんなことより、ジェニファー」

「なに?」

「結婚してくれ」

「イヤです」

「敬語なあたりが著しく寂しいよ、ジェニファー」

「うふふ」

「HAHAHA!」




終章


冷静に考えれば、死んでいなかった。

「私は死んだ」とか述べることが出来たのだから、死んでいるわけがないのだ。死んだ気がしただけだった。人生の落とし穴に落ちても、死ぬとは限らないらしい。その辺が人生の面白いところであるし、カレーはうまいと思う。







この文字列について
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by rei_ayakawa | 2008-09-01 23:50 | 空想
じめじめとした暑さが、体を蝕んでいる。
どうにも寝付けない。
ベッドに寝そべっていること自体に飽きて、体を起こした。

誰か、いる。

月明かりに照らされて、こちらをじっと見つめている。
その手には数枚のカードが。
おごそかな声で言いながら、扇のようにカードを開いて差し出した。

「さあ、ここから好きなのを選びなさい」

私はおごそかな声で拒否した。

「断固拒否する」

誰だか分からない誰かは、驚いたようだった。
何故それが分かったのかと言うと、「ええ、驚き!」と叫んでいたからだ。
なにせアパートの一室なので、少し不安になった。

「夜中なんで、静かにお願いできます? 近所迷惑ですから」
「ああ、ごめんなさい。まさか、私クラスにおごそかな声の人が他にもいるとは、思わなかったもので」

驚いたポイントはそこか。
せっかく断固拒否したのに。
なんだかむなしくなった。

「仕切りなおしましょう。さあ、ここから好きなのを選びなさい」

しかも、あきらかに話の内容を聞いていない。

「だから、拒否するんですってば」
「ええ、驚き!」
「いちいちそのリアクションするのやめてくださいよ」
「ああ、すみません。何度聞いてもおごそかな声なもので」

どうも、謎の人物――便宜上ナスキュウリバナナコンペイトウと名付けることにした――は私のおごそかな声にばかり注目しているようである。
悪い気はしないが、なんぼなんでも視野が狭すぎる。
もう少し様々なエレメンツに目を向けて欲しいものだ。

「こんなにもおごそかだと、ついつい聞きほれてしまいますねえ。次は気をつけます。それじゃ、仕切りなおしますね」

どうにかしてナスキュウリバナナコンペイトウに、仕切りなおす必要が無いことを伝えなければならない。
極力軽薄な声になるよう努めて、若干テンションを上げ気味に発声した。

「ヘイ、ユー。人の話聞いてないね? オレっちはとっくに拒否しまくってるんだからあ、仕切りなおす必要は無いんだってえの。てえの」

軽薄さを強調するために、軽薄な語尾を二回繰り返した。
我ながらアグレッシブに工夫を凝らしている。
ナスキュウリバナナコンペイトウは、なにやらショックを受けたらしい。
何故それが分かるかと言うと、「ええ、ショッキング!」と叫んでいたからだ。
いい加減にしろ。

「そんな……あなたがそんなに軽薄な人だったなんて……!」

相変わらず内容は頭に入っていないようだ。

この段階にいたって、ようやくナスキュウリバナナコンペイトウが女性であることに気がついた。
声が低い上に、全身を覆い隠すローブをまとい、フードまで被っていたので、今まではっきりとは分からなかったのである。
私は、とりあえず押し倒そうと思った。

「今のは冗談ですよ。私の本来の声は、ほら、こんなにもおごそかです」
「ああ、安心しました。あなたが軽薄な人だったらどうしようかと……」
「軽薄さなんか微塵もありはしませんよ」

言いながらフードを脱がせた。
暗闇に目が慣れてきているので、目鼻顔立ちまで良く見える。
おお、外人さんか。
日本語うまいな。
なにはともあれ、及第点である。
自分にゴーサインを出した。

「こんな服を着ていては暑いでしょう。私が脱がせて差し上げます。ほれほれ」
「ああ、なんておごそかなお方……」

なんだかよく意味が分からないが、とにかく私がおごそかであることだけは確からしい。

「でもその前に、カードだけ選んでくれません?」
「それは拒否します」
「おごそかぁ……」

ナスキュウリバナナコンペイトウは恍惚とした表情を浮かべていた。
手から数枚のカードが零れ落ちる。
私はその内容に別段興味を抱かなかったし、何のためにここまでやって来たのかにも関心が無かった。

重要なのは、ここが平成の千葉県内であり、マイルームに見目麗しい女性と二人きりだということだ。
それが全てだ。
私はカードなんか確認したくはない。
彼女が私の発言内容に注意を払わなかったのも、おそらくは同じことなのだろうと理解した。

狭苦しい世界につき、預言者は生きにくい。





この文字列について
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by rei_ayakawa | 2008-08-11 17:46 | 空想

ヘキンオリンピック


「皆さんこんにちは。大盛況の中行われているヘキンオリンピック。つい先ほども観客席で爆発騒ぎがあったそうで、尋常ではない盛り上がりを見せております。さて、現在こちらの会場では、全世界が注目する目玉種目、『完全独力鳥人間コンテスト』が行われています。ルールは簡単、この会場からスタートし、100km先の崖まで助走をつけて、後は飛ぶだけ! 果たして世界記録10m30cmの更新はあるのでしょうか。楽しみですね! ……おっと、皆さんすみません、なにやら大会本部から連絡が入ったようです。どうやら、実況席に爆弾が仕掛けられたそうで」


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しばらくお待ちください


















もうしばらくお待ちください




















あとちょっとだけお待ちください














「視聴者の皆さん、申し訳ございません。実況席Aが破壊されたので、実況席Bからお送りいたします。なにぶん急なことでしたので、お待たせしてしまいましたことをお詫び申し上げます。ついでといっては何ですが、アナウンサーA氏のご冥福もお祈りいたします。さて、順調に競技は進んでおりまして、ここまで8人の競技者が挑み、6人は助走中に力尽きてリタイア、残りの二人は見事な飛翔を見せました。故ヤングウェイ選手が10m11cmで1位、故ユンファ選手が9m84cmで2位にランキングされています。さて、いよいよ我らが日本代表、rei_ayakawa選手が登場です。今、入念に準備運動をしております。果たして、どんな飛翔を見せてくれるのでしょうか。解説のBさん、世界記録の更新はありえると思いますか?」

「ええ、そうですね。まずは、解説のA氏のご冥福をお祈りいたします。それでayakawa選手なんですが、死を恐れずに崖に向かって突進できれば、十分記録更新もありえると思いますね」

「なるほど。ayakawa選手には、是非とも死を恐れないで突進していただきたいですね。さあ、今助走に入りました。ところでBさん、選手たちの間から『いくらなんでも100kmの助走は長すぎる』という声も出ているようなのですが、どう思いますか?」

「長すぎますね」

「そうですね。ありがとうございました」



20分後



「解説のBさん、ayakawa選手もう力尽きてますよ!?」

「いやー、これは想定外ですね。どうやら、日ごろの運動不足がたたったようです」

「まだ2kmしか走ってないじゃないですか。しかも、所々歩いていましたよ。運動できないにもほどがあります。彼は何でこの競技に出ようと思ったのでしょうか」

「だって、お題が……」

「え?」

「ああ、いえ、なんでもないです」

「大体、よくあんなんでオリンピック代表になれましたね。他に送り出せる選手はいなかったのでしょうか」

「そりゃ、誰もやりたがんないですよ、こんな競技」

「まあ、それはそうですけどね……。あ、コンビニに入っていきましたね」

「外は暑いですからね」

「それにしたって、もう少しやる気を見せてもらいたいものです。非国民だ、あいつは」

「今のは問題発言な気がしますけどねえ」

「世界に対して侍魂を見せるべきなんですよ! 大体、この競技は日本人に一番向いているはずです。神風ですよ! ハラキリですよ! 昔から自殺は日本人の得意分野でしょう」

「あーあ、言っちゃった。まあ、確かにこの競技は自殺みたいなもんですけどね」

「天皇陛下のために死ぬべきなんです、彼は!」

「まあまあ、落ち着いて」

「死ねええええええ! 今すぐ飛んで死ねえええええええ! 侍の心意気を見せやがれええええええええええ! ……っと、すみません、なにやら大会本部から連絡が」


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by rei_ayakawa | 2008-08-01 18:59 | 空想

ギャンブラー鋼

友人との「あっちむいてホイ」対決についつい熱くなりすぎた俺は、あろう事か100万円を賭けた大勝負を提案し、敗北を喫してしまった。キャッシュで払う男前な俺。満足げな笑みを浮かべる友人。いくら男前とはいえ、この出費は痛い。このまま終わらせるわけにはいかない。



ギャンブラー
第一話 炎のあっちむいてホイ



「どうする。もう一戦やるか?」

不敵に笑う友人。悔しいが、今流れは完全にやつの側にある。たとえもう一戦やったとしても、俺の敗北は揺るがないだろう。しかし、ここで引いたら100万円を取り返すことは出来ない。一体どうすれば……。

「臆したか。所詮貴様はその程度の男よ。ハッハッハッハッハ!」

やつが背を向けたその時、俺の灰色の脳細胞に電撃が走った。チャンスは今しかない!

俺は「とぉう!」と叫んで天高く飛び上がった。空中できりもみ回転し、照準を定める。やつはこちらを振り向いたが、もう遅い。

「食らえ! ギャンブラーキック!」

直後、友人の胸板に俺の右足が直撃した。手ごたえは十分。確実に肋骨を粉砕している。友人は吹っ飛び、地面を数メートル滑走し、「お、おのれ、ギャンブラアアアアアアー!」と叫んで爆発した。

勝った! 悪の友人を倒したのだ。100万円はどこだ。





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by rei_ayakawa | 2008-07-16 22:07 | 空想