写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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2006年 04月 23日 ( 1 )

「やった!遂に完成した。この発明は人類の歴史を変える!」

「本当ですか、博士!」

「嘘だ」



私は博士だ。
千葉県の片田舎で生まれた。
小学生時分のあだ名もハカセだったが、まさしくその通りに成長していったわけだな。
子供の頃の思い出で印象深いのは、近所の川にザリガニを取りにいったときのことだ。
私の弟がぬかるみに足をはめてしまってね。
出れなくなってしまったんだ。
そこを、私はこう、ぐわっと助けた。
もわっと助けた。
つまり、大急ぎで親を呼びにいったわけだ。
弟は未だにそのことを感謝しているよ。
ん……すまない、ついつい話が脇道にそれてしまったようだ。
何であんな嘘をついたかって?
そうだな……。
私は、自分の研究内容がまるで世間に認められていないのが悲しかったんだ。
だからね、せめてああいう嘘だけでもついて、自分を慰めたかったのさ……。



「博士……助手であるこの俺を騙したな!殺してやる!」

「ま、待ちたまえ助手君!そのナイフを置くんだ!」



ああ、佐藤のことですか。
うーん……どんなヤツだったかと言われても、そんなに親しかったわけじゃないですからね。
あんまり友達はいなかったみたいですよ。
エイプリルフールに嘘つかれてキレるようなやつだったから、みんな付き合いづらかったんじゃないですかね。
この前同窓会で会ったときも、最近の政治はどうたらとかあの総理はクズだとか相変わらずキレっぱなしでした。
みんな適当に流していたみたいですけど。
え、あいつが事件を起こしたって?
まぁ……いつかやるんじゃないかとは思ってましたよ。
それで、どんな事件を起こしたんです……?



「博士死ねー!」

「甘いわ、必殺地獄突き!」

「ぎゃ」



ああ、川田の地獄突きね。
あれは凄い威力だったよ。
手先を尖らせて、ピンポイントで相手の喉元を狙ってくるんだ。
あれにやられた同窓生は数知れないだろうな。
本当に恐ろしい技だったよ。



「ま、参りました、博士!」

「ふん、百年早いわ」

「どうか、その地獄突きを私に教えてください!」

「え、なんで?」

「私には、倒さなければならない相手がいるのです」

「ふむ……まぁ、よかろう」



繰り返しになるけど、本当に川田の地獄突きは凄かった。
他の人には分からない独自の工夫が凝らしてあったらしい。
川田が本気で撃ったとき、コンクリートの壁を粉砕したのを見たことがあるよ。
体格はたいしたことなかったのにな。
人に向ける時は手加減していたらしいが、本気でやったらじゅうぶん相手を殺せるだろうね。
歴史に残る大発明だと思うよ。
あいつは科学者なんかじゃなく、格闘家になるべきだったんだ。



「よし、もうお前に教えることは何もない!」

「ありがとうございます。博士!」



それで、佐藤はどんな事件を起こしたんですか?
え、街頭演説中の総理大臣を地獄突きで殺害……?

―――

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by rei_ayakawa | 2006-04-23 19:27 | 空想