写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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我々

ラーメン屋で、天井近くの棚に備え付けられたテレビを見ていた。ボーッと見ていた。これは音楽番組なのだろうか。司会者らしき初老の男性と、ピアスやらチェーンやらを身につけたパンクスタイルの若者が4人、画面に映っていた。

「皆さんに自己紹介をお願いします」
「我々はフリーセックス」
「ありがとうございました。それでは続きまして」
「フリーセックス」
「違います」

なぜ違うのだ。俺は疑問に思った。我々はフリーセックスであり、世の中もフリーセックスであり、政治家はフリーセックスであり、妊婦はフリーセックスなのではないのか。つまるところ、続きましてもフリーセックス。そうであるべきである。フリーセックスである。我々はフリーセックスである。

「そう思わないか?」

同席していた美香に同意を求めてみた。

「思うね」

やはりか。俺は続けて聞いてみた。

「注文決まった?」
「フリーセックス」
「フリーセックス二つお願いします」

俺の注文を聞いたラーメン屋の親父は、顔色を変えて叫んだ。

「違います!」

そんなわけはない。我々はフリーセックスだ。注文はフリーセックスであるべきだし、店主もフリーセックスであるべきだ。それ以外の回答がどこに存在するのか。フリーセックスによるフリーセックスの為のフリーセックスはどこへ行ってしまったのだ。番組は、いつの間にかニュースに切り替わっていた。まだ若い女性アナウンサーが原稿を読み上げている。番組もフリーセックスであるべきだ。

「容疑者は、犯行の動機を『あなたのため』と説明しているとのことです。続きまして」

俺は呟いた。

「フリーセックス」

アナウンサーが叫んだ。

「違います!」
 
お前も分かってはくれないのか。
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by rei_ayakawa | 2008-05-09 21:07 | 空想