マーメイド
2008年 05月 03日
人魚がやってくるという。
老人はそう話していたし、今は僕も確信している。
人魚がやってくるだろう。
水平線のかなたから、聞こえてくる声。
当初は老人と僕だけしかいなかった浜辺に、続々と人が集まってきた。
あの声に惹かれて。
僕はふと思いついて、老人に声をかけた。
「なんか手土産でも渡してあげたいですねぇ。人魚に」
「私もそう思っていたところだよ。なににしようか?」
さて、何がいいだろうか。
「地上ならではのものがいいですよね」
「となると、万歩計とかどうだろう」
「それはもはや嫌がらせに近いですよ。ルームランナーはどうです?」
「完全にオブジェですな」
「コンビニに行っていいものがあるか探してみますか」
「それがいい」
僕らがコンビニから帰ってくると、あの声は聞こえず、浜辺の人影も消えていた。
「みんな行っちゃったみたいですね」
「うむ。幾名か海面に浮かんでおるな」
「怖いですねぇ。人魚」
「怖いねぇ。人魚」
僕はおみやげとして買ってきた『うまい棒サラミ味』を海に投擲した。
老人はそう話していたし、今は僕も確信している。
人魚がやってくるだろう。
水平線のかなたから、聞こえてくる声。
当初は老人と僕だけしかいなかった浜辺に、続々と人が集まってきた。
あの声に惹かれて。
僕はふと思いついて、老人に声をかけた。
「なんか手土産でも渡してあげたいですねぇ。人魚に」
「私もそう思っていたところだよ。なににしようか?」
さて、何がいいだろうか。
「地上ならではのものがいいですよね」
「となると、万歩計とかどうだろう」
「それはもはや嫌がらせに近いですよ。ルームランナーはどうです?」
「完全にオブジェですな」
「コンビニに行っていいものがあるか探してみますか」
「それがいい」
僕らがコンビニから帰ってくると、あの声は聞こえず、浜辺の人影も消えていた。
「みんな行っちゃったみたいですね」
「うむ。幾名か海面に浮かんでおるな」
「怖いですねぇ。人魚」
「怖いねぇ。人魚」
僕はおみやげとして買ってきた『うまい棒サラミ味』を海に投擲した。
by rei_ayakawa
| 2008-05-03 20:41
| 空想