写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

マーメイド

人魚がやってくるという。
老人はそう話していたし、今は僕も確信している。
人魚がやってくるだろう。
水平線のかなたから、聞こえてくる声。

当初は老人と僕だけしかいなかった浜辺に、続々と人が集まってきた。
あの声に惹かれて。
僕はふと思いついて、老人に声をかけた。

「なんか手土産でも渡してあげたいですねぇ。人魚に」
「私もそう思っていたところだよ。なににしようか?」

さて、何がいいだろうか。

「地上ならではのものがいいですよね」
「となると、万歩計とかどうだろう」
「それはもはや嫌がらせに近いですよ。ルームランナーはどうです?」
「完全にオブジェですな」
「コンビニに行っていいものがあるか探してみますか」
「それがいい」

僕らがコンビニから帰ってくると、あの声は聞こえず、浜辺の人影も消えていた。

「みんな行っちゃったみたいですね」
「うむ。幾名か海面に浮かんでおるな」
「怖いですねぇ。人魚」
「怖いねぇ。人魚」

僕はおみやげとして買ってきた『うまい棒サラミ味』を海に投擲した。
[PR]
by rei_ayakawa | 2008-05-03 20:41 | 空想