写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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マーメイド

人魚がやってくるという。
老人はそう話していたし、今は僕も確信している。
人魚がやってくるだろう。
水平線のかなたから、聞こえてくる声。

当初は老人と僕だけしかいなかった浜辺に、続々と人が集まってきた。
あの声に惹かれて。
僕はふと思いついて、老人に声をかけた。

「なんか手土産でも渡してあげたいですねぇ。人魚に」
「私もそう思っていたところだよ。なににしようか?」

さて、何がいいだろうか。

「地上ならではのものがいいですよね」
「となると、万歩計とかどうだろう」
「それはもはや嫌がらせに近いですよ。ルームランナーはどうです?」
「完全にオブジェですな」
「コンビニに行っていいものがあるか探してみますか」
「それがいい」

僕らがコンビニから帰ってくると、あの声は聞こえず、浜辺の人影も消えていた。

「みんな行っちゃったみたいですね」
「うむ。幾名か海面に浮かんでおるな」
「怖いですねぇ。人魚」
「怖いねぇ。人魚」

僕はおみやげとして買ってきた『うまい棒サラミ味』を海に投擲した。
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by rei_ayakawa | 2008-05-03 20:41 | 空想