写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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ボブ

「ここはどこですか?」
「ここはボブです」

ボブらしい。聞いたことのない地名だ。どうやら、知らぬ間にずいぶん遠いところまでやってきてしまったようである。去り行くおじさんの後姿を見ながら、私は考えていた。『ボブ』ってどういう漢字で書くのだろうか。母部?

なにはともあれ、帰らなければならない。緑葉の隙間から射し込む日の光が、路面を照らしている。駅にたどり着くには、どちらへ向かえばいいのだろうか。おじさんにもう一度聞いてみようと、その後姿を追った。

「すみませーん、ちょっと……」
「あああああああああ!」

おじさんがいきなり絶叫をあげると、彼の背負ったバックパックからジェットが噴出し、おじさんを天高く運んで、私は呆然として、おじさんの姿が見えなくなって、私は「なんで?」と呟いて、駅までの道はわからないし、看板もないし、もうどうしたらいいのかさっぱりわからなくて、膝を突いて落ち込んでいたら、おじさんがゆっくりと空から降りてきて、着陸成功。

「おや、あなたでしたか。いきなり後ろから話しかけられたから、通り魔に殺されるかと思ってしまいましたよ」
「さっき話しかけたときは大丈夫だったじゃないですか!」
「いや、あれは側面からでしたから。ははは」

世の中にはいろんな人がいるんだ。生きることは大変なんだ。とにかく、そういうことはわかった。勉強になった。

「え、えっと、それはいいんですけど、ちょっとお聞きしたいことがありまして」
「どうぞどうぞ、私はこの辺のことには詳しいですからね。なんでもお聞きください」
「ありがとうございます。駅はどこですか?」
「駅はボブです」
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by rei_ayakawa | 2008-04-16 07:21 | 空想