写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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それでもボクはなってない

今日は風が強かった。

強風により電車のダイヤも乱れて、自宅まで帰り着くのに普段以上の時間がかかってしまった。しかし、私がいつも以上に疲労しているのは、決してそのせいだけではない。

私が普段のように「座りたい超座りたいめがっさ座りたいけど座れないだって男の子だもん」という熱い思いを抱えてつり革を握り締めていると、私の横に立っていた女性がいきなり声を上げた。

「この人、士官です!」

誰がだ?

仮にその人が士官だとして、それが今この状況で何を意味するのであろうか。私にはさっぱりわからなかったが、そのかわり大変なことに気がついた。

彼女が捕まえていたのは、私の腕であった。

周りの乗客がざわめきだす。私は必死で否定した。

「馬鹿な!私は士官などではありません!」

「嘘つかないでよ!この士官!」

彼女が何を勘違いしているのかわからないが、私は武官でも将校でもない。ゆえに士官と呼ばれるいわれは全くないのだが、悲しいことにこの世の中、声の大きいほうが勝つケースが圧倒的に多い。まずい、このままでは私が士官にされてしまう。私は焦った。

「私が士官であるという証拠でもあるのですか!」

「この手が何よりの証拠よ!」

彼女はつかまえた私の腕をさらに天高く掲げた。意味がわからない。それの何が証拠になるのか。そう思っていると、周りの乗客たちが露骨にざわめきだした。

「士官だ。こいつは士官だぞ」

「ああ、見事なまでの士官だ」

「あの手がすべてを物語っているな」

私は士官ではない。しかし、これだけ大勢の人間が私を士官だといっていることは、私は士官なのかもしれない。私の手は士官の手だったのかもしれない。士官の手ってなんだよ。

「士官だ」

「士官だ」

「土管だ」

「士官だ」

私は士官なのか、土管なのか……。

「なーんてねっ」

女が明るく微笑んだ。私の手は開放された。

「エイプリル・フールだよ。ひっかかった?」

何を言っているのか。エイプリル・フール。今日は4月1日か。くそっ、なんてことだ。危うく自分が士官であるなどというばかげた話を信じかけた。

周りの乗客に目を向けると、みんな顔が下を向いていた。





というようなことがあったのだ。

いやはや、全く持って今日は災難であったことよ。
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by rei_ayakawa | 2008-04-01 19:56 | 日々