写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

犬対俺

犬と猫、どっちが好き?

妙によくある質問だと思う。どちらもポピュラーなペットなだけあって、犬と猫の間にはライバル関係が築かれているらしい。

ちなみに、私は断然猫派だ。犬はあまり好きじゃない。幼い頃、近所の犬に散々追い掛け回された経験のせいもあるのだが、何よりやつらはよく吼える。無駄に吼える。

特に、隣の家の犬はやかましいことこの上ない。家の前を通りかかった通行人に対して、無差別に全力で吼えまくる。私もしょっちゅう吼えられているのだが、いつも吼えられっぱなしでは癪に障るので、先日、人間様の偉大さを思い知らせてやろうと抵抗を試みた。


普段どおりの帰り道、隣の家の前までくるとやつの声が聞こえる。敵意をむき出しにした視線で私に対して吼えかかってくるが、今日の私は一味違う。覚悟しやがれ。

まずは睨んでみる。自慢ではないが、私はかつて「綾川って目つき妙に悪いよね」と意中の人に言われて、馬鹿みたいにへこんだほどの男だ。その鋭い眼光は、獲物を狙う猛禽類のごとき威圧感を誇っている。しかし、敵は動じず今までと同じように吼え続けていた。なかなか、肝の据わった犬のようだ。よかろう、相手にとって不足はない。

次は微笑んでみる。自慢ではないが、私はとても慈悲深い男だ。具体的にどのくらい慈悲深いかというと、この前、家に黒きGが出現したときに心が優しすぎて殺せず、弟に代わりに処理してもらったくらいだ。そんな私の輝かんばかりの微笑みで敵意がないことを伝え、相手の戦意を喪失させようという作戦である。だが、相も変わらずやつは吼えるのをやめない。「そんなことで俺が騙されるもんか。大人は皆うそつきだ!」という風にでも思っているのだろうか。ならば、こちらも全力で行こう。

私は犬に対してファイティングポーズをとった。自慢ではないが、私はかつてブルース・リーの映画を見た後、なんとなく自分が強くなった気になっていたほどの男だ。その全身から発される気迫で、相手にこちらの意思を伝える。

「これ以上やるとどちらかが死ぬぜ……」
(くっ、この男……本気か!)

犬の動揺が手に取るように分かる。しかし、相手も百戦錬磨の兵。ここで退くわけにもいかないのか、今までと同じように吼え続けている。私と犬の間に張り詰める、凄まじい緊張感。どちらも、もはや完全に臨戦態勢だ。私は唇の端を軽く持ち上げて、やつに言った。


「今日はこのくらいで勘弁しておいてやるぜ」


構えを解き、家に帰るために向きを変えると、サラリーマン風の男性がこちらに向けていた視線をささっと逸らした。
[PR]
by rei_ayakawa | 2005-12-05 16:06 | 日々