写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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旅行記 山中


山猫の踊りを見た。

空の向こうに日が沈み、平面上の赤さにしか面影を見いだせなくなったころ。

山中で山猫の踊りを見た。

僕は木の陰からコソコソ見ていた。

「ヘイ、そこのコソコソしたガイ。あんたもこっちきたらどうだい。イッツ・ヴェルィ・ファン」

一匹の山猫が僕に声をかけた。

猫のくせに何故か横文字混じりでしゃべる。

しかも、巻き舌だ。

不思議なこともあるもんだなぁと思いながら、僕は木の陰からコソコソと出て行った。

「僕、踊りはできないんだけど……」

「なーに、大丈夫。やってみたら、案外できるもんさ」

「そうかなぁ……」

「そうさ」

「できなかったら?」

「責任もって、俺が腹を切ろう」

初対面でありえないプレッシャーをかけられた。

事ここに及んでは、踊らなくてはいけない。

失敗は許されない。

「やってみるけど……踊るって具体的にどうやんの?」

「別に考える必要はないんよ。観客もいない山の中だし。音楽に合わせて自由に体をうごかしゃいいんだ」

山猫バンドの演奏は続いている。

「『ドラえもん音頭』か……」

「あんたら人間が作った曲だ」

「いや、うん……その中から『ドラえもん音頭』か……」

「猫だからな」

まぁ、この際だ。

踊ろう。

それがいい。
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by rei_ayakawa | 2008-01-07 16:08 | 旅行記