写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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タバコの灰が

タバコの灰が……落ちる!

このまま落ちてしまっては、カーペットが汚れてしまう!しかし、もはや私にはどうすることもできない。灰の塊は万有引力の法則に屈し、ゆっくりと落下していく。

も、もうダメだ!カーペットは、カーペットは汚れてしまうのだ。ああ、神よ。もし神がいるならば、どうか、どうか、新品のカーペットをタバコの灰から救い給え!私は力強く祈るが、これと言って何も起こらない。なんてこった、神はいないのだ!いたとしても、私をこの絶望的な状況から救ってはくれないのだ!全身から力が抜けるのを感じた。

落下する灰を見つめながら、考える。大体にして、ここ最近の私は全くついていなかった。彼女には振られるし、虫歯にはなるし、深爪までした。もう、今はそういう時期なのだ。やることなすことうまくいかない時期なのだ。つまるところ、この灰の落下も起こるべきして起こった悲劇なのである。もう、生きていても仕方ないのかもしれない。

灰は地面まであと20cm程度といったところか。先ほどから随分と時間の流れが遅く感じる。これが死に際の集中力というやつなのだろうか。そういえば小学生の頃、椅子によりかかって傾けすぎたらそのまま転倒したということがあった。あの時も周りの世界がスローに見えたものである。

それにしても、時間の流れが遅すぎて暇である。さっきからどうも様子がおかしい。遅いというより、動いていない。いくらなんでも、集中しすぎだ。

これはなかなか困った状態である。私は空中に静止する灰を見つめながら静止している。当たり前だが、動けない。時間が止まったところで、これではなにも得することはないし、ただひたすらに暇なだけだ。途方に暮れる私の前に、老人が現れた。

「ほっほっほっ。お主の望みどおり新品のカーペットをタバコの灰から救ってやったぞい」
「あんた誰だ?」
「神じゃ」
「帰れえええええええええ!!」
「なんでじゃああああああ!!お前が頼んだんだろうが!」
「それに関しては謝る!取り消し!すぐ取り消し!」
「わがままなやつじゃのう……」

タバコの灰が、落ちた。

カーペットは汚れてしまったが、もういいのだ。だって、僕はもっと大切なものを手に入れたのだから……。

「大切なものってなんじゃ?」
「別にそこまで考えてねえよ。いいから帰れよ」
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by rei_ayakawa | 2007-11-10 00:14 | 空想