写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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世代間断絶

むかしむかしというわけではなく、ごく最近あるところに、おじいさんがいました。

「まったく、最近の若者はことごとくけしからん!軟弱じゃ!ぶっ殺してやる!」

おじいさんは日本刀を担いで家を飛び出しました。

「ちょっと、おじいさん!お昼ご飯はどうするんですか?」

娘さん(といっても年齢的には……)が声をかけるも、振り向きもせず駈け去って行きます。大正生まれ、まだまだ元気です。よきことですね。

おじいさんが町中に到達すると、いるわいるわ、髪なんか染めていかにも軟弱そうな日本男児の群れ!おじいさんはさっそく華麗なる虐殺を開始することにしました。第一の犠牲者に決めたのは、長髪・茶髪・シルバーアクセサリー・女連れといった条件を兼ね備えた、軟弱者の見本のような青年でした。

「くたばれー!」

おじいさんは日本刀を若者の脳天に振りおろしました。ところが、意外なことが起きます。青年の華麗な真剣白羽取りが決まったのです!

「甘いぜ、じーさん……。そんなんじゃハエも殺せねぇ」

おじいさんは大いに狼狽。そして、意外なことが起きます。

「私、実は1年前まで男だったの!」

青年の連れの女性が理解不能のタイミングでカミングアウト。青年までもが大きなショックを受けてしまいます。さらに、白衣の男が現れて意外なことを言いました。

「私はその女性の主治医ですが、今の発言は事実ではありません。生まれた時から女性ですよ、彼女は。なぜだか、いつからか『自分は元男だ』と思い込むようになってしまったのです」
「何を言ってるの。私はあなたなんか知らないわ」
「いいから帰りましょう。一刻も早く」

青年もおじいさんも、あっけにとられています。そこに、警官がやってきました。

「待てー、連続誘拐犯、待てー」
「ちっ、見つかったか!」

白衣の男は大慌てで逃げ去りました。警官は叫びました。

「待て、待つんだ!止まると撃つぞ!」
「じゃあ止まらない!」
「ああ、それでいいんだ!そのまま、行け!走るんだ!そして、社会を変えろ……!」

警官は涙を流して、白衣の男の後ろ姿を見送りました。

「これでよかったんだ……これで……」
「あなた……」

警官の肩にもたれかかって涙を流しているのは、先ほどまで青年の脇にいた例の女性でした。

「それじゃあ、帰ろうか」
「そうね。今日はドラえもんの日ですもんね」
「あの青ダヌキめ……いつか撃ち殺してやる」

去りゆく二人の姿を見ながら、青年とおじいさんは立ち尽くしていました。

「なぁ、じーさん……」
「……なんじゃ?」
「世の中ってわかんねぇことだらけだなぁ……」
「そうだよなぁ……」
「あ、やべ、燃料切れる。博士んところ帰らなきゃ」

青年は足の裏からジェットを噴射して空へと飛び立ちました。

「じーさん、またなー」

あっという間に視界の外へと飛び去って行く青年を見て、おじいさんは少し寂しくなりましたとさ。
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by rei_ayakawa | 2007-10-12 17:26 | 空想