写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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少年と犬

「うわーん!なんで死んじゃったんだよ、ポチー!」
「ほら、もうあきらめなさい。お墓作ってあげましょう」

お母さんがどんなになぐさめても、次郎はポチから離れようとしません。思えば、物心ついたときからずっと一緒に育ってきたのです。悲しむのも当然でしょう。「きっと、こうした体験がこの子に命の貴さを教えるのね……」そんなことを考えていると、闇夜に輝く星の一つがその輝きを増し、一条の光がポチに降り注ぎました。お母さんも次郎も、その不思議な光景に目を疑いました。

「あ、お母さん、ポチがなんか変だよ!」

ポチの中にかすかに残っていた生命が躍動します。定められた運命を拒否するかのように、強く。ヘモグロビンは体を巡り、心の臓が張り裂けんばかりにその鼓動を強め、筋肉は隆起し、目が開き、二足歩行になり、背筋は延び、夜空に向かって叫びました。

「我が名はポチ・ダイナマイト!」

次郎は目を輝かせました。

「凄いや!ポチが生き返った!」

お母さんはもう、空いた口が塞がりません。

「生き返ったのではない……生まれ変わったのだ!私は今までのポチではない、見よ!」

ポチは天高く跳躍しました。

「うわー、屋根より高いや!」
「フハハハハハ!ポチ・ダイナマイトとして生まれ変わった私の身体能力は実に8メートルの垂直とびを可能にする!そして……」

着地し、家の壁面を思い切り殴りつけます。轟音が響くと同時に、大きな穴が穿たれました。

「うおー!かっけー!」
「パンチ力は独力でのビル解体作業を可能にする!さらに……」

ポチは前傾姿勢になって口を大きく広げました。直後、口内から吐き出される熱線。ポチは大きく首を振って熱線をあたりに撒き散らし、住宅街は火の海と化しました。肉のこげる臭いがあたりに漂い、逃げ惑う人々の声が聞こえます。

「ダイナマイト・ビームは一夜でこの国の首都を灰燼へと帰す破壊力を持つ!」

ポチが誇らしげに胸を張りました。急に暴れたせいか、少し息切れしています。次郎は大喜びでポチに抱きつきました。

「ポチー、凄いじゃん!僕、学校で自慢できるよ!」
「ポチではない。ポチ・ダイナマイトだ!」
「うん、わかった!これからもずっと一緒だよ、ポチ・ダイナマイト!」
「無論よ」

一方、お母さんはドサクサのうちに黒焦げになって死んでいました。
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by rei_ayakawa | 2007-09-19 21:04 | 空想