夢の過重積載
2007年 06月 14日
子供の頃、電車が好きだった。よく母親と一緒に近所の線路まで見に行って、走行する列車に正面からタックルをかまして爆裂させる夢想に浸っていたものである。幼き日の思い出は、いつも美しい。
そんな穢れのない純真な心を持つ少年だった私も、今では立派に穢れた心を持った青年だ。電車と聞いて真っ先に思い浮かぶのが飛び込み自殺だし、電車に正面からタックルをかませば自分が爆裂するイメージしか浮かばない。しかたがないので、線路に爆弾を仕掛ける夢想に浸る毎日だ。夢のない大人になってしまったものである。
しかし、冷静に考えれば、夢のありすぎる大人になるのも困りものだ。たとえば、私は少年の頃「ウルトラマンになりたい」という夢を持っていたが、この夢を大人になっても持ち続けていた場合相当な問題が生じてくる。まぁ、別に夢を夢として持っている段階では問題はない。ちょっと家庭を作ったりすることは出来ないかもしれないが、その辺は個人の自由である。問題になるのは、実現させてしまった場合だ。
あらゆる困難を乗り越え、ウルトラマンになるという夢を叶えたとしよう。なったはいいが、現代社会においては残念なことに怪獣がいない。彼が夢見たヒーロー象とはかけ離れた生活を送ることは間違いなしである。
土木作業や建設現場などでは大活躍だろう。間違いなくウルトラ社員としての扱いは受けることが出来る。だが、彼がそれで満足できるのだろうか。正義のヒーローに憧れて警察官や弁護士になる人こそいるものの、彼は一切の妥協なく「ウルトラマン」になったのである。「せっかくウルトラマンになったのに……」と鬱屈した思いを抱えるウルトラマン。
彼が憧れたのは建設業のヒーローではなく、正義のヒーローなのである。となると、犯罪者を相手にするしかないが、引ったくり犯を捕まえようにもその体の大きさゆえ一歩間違えれば殺人犯になってしまう。まして、人質をとって立てこもった銀行強盗を相手に出来ることは何もない。でかすぎて、なにをしようにも目立ちすぎである。何も出来ない歯がゆさのあまり、人質ごとスペシウム光線で爆裂させてしまう危険性もあるだろう。
こうなってくると、もはや彼は戦場に向かうしかない。戦場における正義とは何か。言うまでもない、アメリカである。ヒーローに憧れる純真な心を失わない彼は、アメリカ合衆国大統領に「正義のための戦争だからさ、ちっと手伝ってくんね?」とか言われたらホイホイついていってしまうだろう。砲弾の飛び交う中、足元にむらがる敵兵をスペシウム光線で吹き飛ばしていくウルトラマン。そんな彼の姿を見て、子供たちはどう思うであろうか。
子供の夢を守るためにも、適度に夢のない大人になっておいたほうがいいのである。
そんな穢れのない純真な心を持つ少年だった私も、今では立派に穢れた心を持った青年だ。電車と聞いて真っ先に思い浮かぶのが飛び込み自殺だし、電車に正面からタックルをかませば自分が爆裂するイメージしか浮かばない。しかたがないので、線路に爆弾を仕掛ける夢想に浸る毎日だ。夢のない大人になってしまったものである。
しかし、冷静に考えれば、夢のありすぎる大人になるのも困りものだ。たとえば、私は少年の頃「ウルトラマンになりたい」という夢を持っていたが、この夢を大人になっても持ち続けていた場合相当な問題が生じてくる。まぁ、別に夢を夢として持っている段階では問題はない。ちょっと家庭を作ったりすることは出来ないかもしれないが、その辺は個人の自由である。問題になるのは、実現させてしまった場合だ。
あらゆる困難を乗り越え、ウルトラマンになるという夢を叶えたとしよう。なったはいいが、現代社会においては残念なことに怪獣がいない。彼が夢見たヒーロー象とはかけ離れた生活を送ることは間違いなしである。
土木作業や建設現場などでは大活躍だろう。間違いなくウルトラ社員としての扱いは受けることが出来る。だが、彼がそれで満足できるのだろうか。正義のヒーローに憧れて警察官や弁護士になる人こそいるものの、彼は一切の妥協なく「ウルトラマン」になったのである。「せっかくウルトラマンになったのに……」と鬱屈した思いを抱えるウルトラマン。
彼が憧れたのは建設業のヒーローではなく、正義のヒーローなのである。となると、犯罪者を相手にするしかないが、引ったくり犯を捕まえようにもその体の大きさゆえ一歩間違えれば殺人犯になってしまう。まして、人質をとって立てこもった銀行強盗を相手に出来ることは何もない。でかすぎて、なにをしようにも目立ちすぎである。何も出来ない歯がゆさのあまり、人質ごとスペシウム光線で爆裂させてしまう危険性もあるだろう。
こうなってくると、もはや彼は戦場に向かうしかない。戦場における正義とは何か。言うまでもない、アメリカである。ヒーローに憧れる純真な心を失わない彼は、アメリカ合衆国大統領に「正義のための戦争だからさ、ちっと手伝ってくんね?」とか言われたらホイホイついていってしまうだろう。砲弾の飛び交う中、足元にむらがる敵兵をスペシウム光線で吹き飛ばしていくウルトラマン。そんな彼の姿を見て、子供たちはどう思うであろうか。
子供の夢を守るためにも、適度に夢のない大人になっておいたほうがいいのである。
by rei_ayakawa
| 2007-06-14 21:40
| 日々