写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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人生投げっぱなしジャーマンスープレックス

早速、全裸で街に飛び出してみた。

いやぁ、気分爽快だ。『人生を捨てる』という行為がここまで人を自由にするとは思いもよらなかったよ。なんてったって捨ててるからな!はっはっは。

大量の通行人も、もはや気にならない。私は、交差点の中央で全裸のまま華麗にステップを踏んだ。くるくるその場で回転したり、大股開きで跳躍したりもした。でも、歩行者用信号が点滅し始めたらすみやかに歩道に戻った。こういうところ、私は律儀なのだ。

しかし、とりあえずこれから何をしたものだろうか。人生を捨てたおかげで他人の目を全く気にする必要がないのはいいが、人生を捨てたが故にあらゆる欲望から縁が切れている。金なんかあっても仕方がないし、食欲も性欲も睡眠欲も知ったことではない。人生を捨てると言うことは、そのまま欲求の欠乏に繋がるのだなぁ。また一つ勉強になったよ。まずい、とてつもなく暇だ。

私はロダンの『考える人』のポーズをとって、この問題への対処を考えることにした。ポーズに別段意味があるわけではないが、せっかく全裸なのだし芸術品を気取ってみるのも悪くないと思ったのだ。どうしよう。うーん。うーん。

悲しいことにこれといって何も思いつかないので、顔を上げる。私の視線に気が付いたのか、こっちを見ていた女子高生がささっと視線を逸らした。

彼女は私から視線を逸らしたのだ。

私の頭上でピカーンと電球が輝いた気がした。もちろん、気がしただけだ。そんなマンガ的エフェクトは妄想の中でしか成立し得ない。私は彼女のそばへ早足で歩いていった。彼女はあいかわらず私のほうを見ないように努力しているが、表情の硬さから隠しようのない緊張と恐怖がしっかりと読み取れる。人生を捨てる前から、彼女のような人種には多少興味があった。こちら側から観察すると言うのも面白そうだ。私は彼女のすぐ隣にまで近付いて話しかけた。

「隠そうとしても無駄だよ。君には私が見えている。本当にいるんだね、見える人って言うのは。まぁ、怖がらなくてもいい。私も退屈していたところなんだ。しばらく君に憑いて回らせてもらうことにするよ」
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by rei_ayakawa | 2006-12-20 17:25 | 人生プロレス技シリーズ