写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

rei_ayakawa先生の次回作にご期待ください

あれは、ある晴れた朝のことだった。

やつらは俺の家に乗り込んできて、部屋の中をめちゃくちゃに引っ掻き回した。
俺のぬいぐるみコレクションが宙を舞い、地に叩きつけられる。
挙句の果てに、俺のかわいいみーちゃん(兎のぬいぐるみ。5歳の頃からずっと一緒だった)を攫って行きやがったんだ。
俺は泣いた。
あまりの理不尽さに泣いた。
空を暗雲が包み、天がポツポツと涙を流す。
いや、違う。
お前は泣くべきではないのだ。

取り戻さなければ。
取り戻さなければ。
取り戻さなければ。

俺は愛用の自転車に跨った。
空には雷鳴が轟く。
自転車をこぐ、こぐ、こぐ。
風を切り、いくつもの水滴が顔を打つ。

気がつけば、背後に何者かのけはい。
振り向くと、三輪車に乗った幼児が俺のすぐ後ろについてきていた。

「あんちゃん……俺と勝負しないかい」

やつのギラリと輝く目は、そう語っていた。

「ふっ、いいだろう。相手になってやるぜ」

俺もピカリと輝く目で、そう語った。
そしてすぐに抜かれた。

「いや、ほら、あれだ。俺、ここまで300Mも全力疾走してるから。すっごく疲れてるから。わかる?体調万全だったらお前なんかに負けるわけないって。あったりまえじゃん。あっはっは」

俺ははるか前方で疾走する三輪車に向けて、死んだ魚のような目でそう語った。

なんかもう、えらい疲れたのでバスを使うことにした。
雨はさらに勢いを増している。
傘を持ってこなかったのは不覚だった。
待ち時間が辛い。
バスがくるのは5分後だ。
これほど長い5分間は初めてじゃないかと思えた。

「帰ろうかな」

一瞬そんな思いが頭を掠めたが、すぐにかき消した。
俺は一体何を考えているんだ。
みーちゃんを見捨てるなんて、そんなこと俺に出来るわけないじゃないか。
やつらから、なんとしてもみーちゃんを取り返さなければならないのだ。
雨がどうした。
心頭滅却すれば火もまた涼しだ。

俺は心頭滅却したが、雨は冷たいままだった。

火にしか効果がないのか、なんてこった!
俺は先人のくだらない知恵に惑わされたことを、凄まじく後悔した。
具体的にどのくらい後悔したのかというと、あまりにうなだれすぎて地面に頭が埋まってしまったくらいだ。
そして、頭は抜けなかった。

俺は焦った。
このままでは窒息死してしまう。
なんかバスが来たような音がするし、急いで顔を引っこ抜かなければならない。
神よ、俺に力を与えたまえ!

「えい」

やったぁ!抜けたぞぅ!
俺は大急ぎでバスに飛び込んだ。

雨は降り続く。
俺は座席に腰かけ、安堵のため息をついた。
このバスに乗っていれば、いずれやつらのアジトにつく。
ついに、ここまできたのだ。
空には雷鳴が轟くが、恐れることはない。
八百万の神々が俺の行く手を照らすだろう。

本当の戦いはこれからだ!
[PR]
by rei_ayakawa | 2006-10-27 00:17 | 空想