写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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僕は、川沿いの道を歩いていた。
日差しが照る中、歩いていた。
気温は高いが、風は涼しい。
本当にいい天気だ。
ひっそりと道端に咲く花が、風に揺られて踊っている。

前を見ると、川原に少女が座っているのが見えた。
長い黒髪が印象的な子だった。
まだ中学生くらいだろうか。
白い綺麗な肌、すらりと細い手足。
お人形のような雰囲気の女の子だった。
僕は興味を持って、ふらふらと近付く。
彼女はこちらを振り向くと、にこりと笑って声をかけた。

「翼、いりませんか?」

「いや、別に」

なんかそういう気分だった。
彼女は明らかに不服そうだった。

「そんなつまんないこと言わないでくださいよー。おもしろくないなぁ」
「そんなこと言われたってねぇ……」
「うんって言ってくださいよ。今なら洗剤もつけるからさぁ」
「え、ほんと?どうしようかな」

僕は真剣に考え込んだ。
洗剤が欲しかった。

「うん、わかった。翼、貰おうかな」
「いぇい。話わかりますね、お客さん!」

彼女はパチンと指を鳴らした。
すると、僕の背中から突然、大きな白い翼が生えた。

「これであなたは空を飛べます。飛行機には気をつけてね」
「よーし、飛行機に気をつけるぞ!」

僕は翼を大きく広げ、大空へと舞い上がった。
地面がみるみるうちにはなれていく。
体が空に吸い込まれそうな気分だった。

鳥の群れといっしょに、遊覧飛行。
風が気持ちいい。
周りを飛ぶ鳥たちは、僕に見向きもしなかった。
所詮、僕は鳥ではないということか。

眼下に広がる町並みは、いつもとどこか違うように感じられた。
その向こうに広がる海。
僕は水平線を目指して飛んでいった。

空は青いようで白くもある。
海面には太陽光が反射する。
まるで、ダイヤモンドのよう。
キラキラと輝いている。

しばらく海上を飛行しているうちに、僕はまずいことに気がついた。

「疲れた」

僕は残念ながら飛ぶのには慣れていなかった。
どこかで休みたくなったが、周りには見渡す限りの海、海、海。
羽を休める場所がない。

僕は力尽きて、海にめがけてよろよろと落ちていった。
太陽は沈みかけていた。


抵抗

僕は海に浮かんでいた。
空はどんよりと暗い灰色。
アホウドリが宙を舞っている。
僕は手を伸ばそうとした。
でも、僕は沈んでいった。
無関心なアホウドリ。

僕は沈んでいく。
魚の群れも目を合わせてくれない。
僕は彼らに声をかけてみた。

「ねぇ、僕はこれからどうなるの?」

魚たちは皆、こちらを見ようともしない。
僕はなんか、妙に悔しくなった。

「あ、100円落ちてる!」

魚たちは相変わらず見向きもしない。
僕はなんか、無性に腹が立ってきた。

こいつらには100円の大切さがわかっていないんだ。
100円を笑うものは100円に泣くんだ。
貴様らも100円に泣き濡れるがいいさ、凡人どもめ!
あ、違う。
凡魚どもめ!
僕はさらに沈んでいった。
無関心な魚の群れ。

僕はついに、海のそこまで沈んでしまった。
そしたら、今度は人魚さんが近付いてきた。
でも 僕のことは見ていない。
ここまでスルーされ続けるとむしろすがすがしい気もするけど やっぱりむかつくので抵抗を試みた。

「へーい、そこのお嬢さん。僕と一緒にお茶しない?」

相変わらず彼女は見向きもしない。

「志村ー!後ろ、後ろ!」

反応してくれない。
志村じゃないみたいだ。

「ねー、助けてよー。こんな所に沈みっぱなしなんて嫌だよー」

泣き落としに入ってみた。
でも 彼女は全然反応してくれない。
僕はもう諦めてしまった。

全身から力が抜ける。
虚脱状態。

僕の体が少しずつ浮かび上がり始めた。


安息

僕はぷかぷかと海面に浮かんでいた。
無関心なアホウドリ。
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by rei_ayakawa | 2006-09-21 22:14 | 空想