写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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私には、爪を噛む癖がある。

「何故噛むのか?」と聞かれたら「そこに爪があるからさ」とニヒルな笑みを浮かべて答えるしかないのだが、その時の私はとてもカッコイイ。私はそう信じている。つまり、信じる気持ちが大切なのだ。信じる気持ちを持っているからこそ、人は勝利を信じてギャンブルにのめりこんだり、正義を信じて殺し合いをしたり、自分だけは大丈夫と信じてべろべろに酔っ払った状態で車を運転したりできるのだ。これほどまでにマイナス面が多いとは思わなかった。

話を爪に戻そう。私はこの癖と長く付き合っているおかげで、爪を噛みきるばかりでなく、歯を使って爪を研ぐことまでできるようになった。結構、きれいに整えられていると思う。正に人間爪切り機だが、だからといって爪切りがいらないということはなく、普通に足の爪を切る時に必要である。また、しょっちゅう噛んでいて常時深爪気味なので、缶ジュースの蓋を開ける時などに爪が引っかからないのも不便だ。この特技のメリットのなさには驚くべきものがある。

しかし、せっかく天から与えられた才能を、このまま無駄にしておくのは惜しい。どうにかして、有効活用したいところだ。たとえば、しばらく噛むのを我慢して爪を長く伸ばす。そして歯でうまく整え、刃物のように鋭くさせるというのはどうだろう。そう、私の爪を凄い爪へと改造するのである。

凄い爪とはどう凄いのか?疑問に思う方もいると思うので、説明しておこう。わかりやすく言うと、とにかく凄い爪である。具体的にどう凄いかというと、驚くべきことに、缶ジュースの蓋をらくらく開けることができるのだ。これだけで、凄い爪の凄さはわかっていただけるだろう。とにかく、凄い凄さなのだ。

凄い爪の効能はそれだけではない。たとえば、このような状況においても凄い爪は役に立つ。

「ふっ、てめえ、この俺に勝てるとでも思ってんのか?」
「侮るなよ。確かに、見た目は貧弱な男の見本とも言えるこの私だが、この鋭い爪をみやがれ!」
「な、なにぃ!」
「いくぜ!必殺、空中みじん切り!」
「ふおおおおお!爪をまるで包丁のように!」

アイアンシェフになれる。そんな確信を持たせてくれる『爪包丁十刀流』作戦だが、いくつか難点があることも確かだ。

まず、ジャンケンが凄まじく不利になる。グーが出せないからだ。握りこぶしを作ると、手のひらに凄い爪が問答無用で突き刺さる。食材を切れるほどの長さな訳だから、まず間違いなく貫通するだろう。そこまでしてグーを出す根性は私にはない。相手からすれば、ひたすらチョキを出していれば負けはないのだ。しかも、相手には「意表をついてグーを出す」という選択肢も残されている。私が勝つには、そのたった一回のグーを読みきってパーを出さなければなければならないのだ。これがどれほど難しいことか、想像するに難くないだろう。

さらに、鼻くそをほじろうとした場合には流血沙汰になる。照れ隠しに顔を掻いただけで流血沙汰になる。「犯人はあなたです!」と突きつける指の位置が近すぎれば刺殺になる。刺殺というか、指殺になる。

ここまででも十分、メリットよりデメリットのが大きいのではないかと思わせてくれる状況だが、これに加えて最大の難点がある。如何に私といえど、歯で爪を包丁の様に加工するなど無理だ。これを実現するためには、並々ならぬ努力が必要であろう。それはもう、人生をかけるくらいの意気込みが必要であるが、こんなことに人生をかけるのは明らかにやりすぎだ。

やりすぎはよくない!

完。
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by rei_ayakawa | 2006-09-17 15:41 | 日々