写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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奥様はロボ

私がいつもの通り会社から帰ってくると、妻がなにやら神妙な顔をして待っていた。

「あなた、ちょっとお話があるの」
「おいおい、なんだよ、改まって。一体どうしたっていうんだ?」
「うん、それがね。今まであなたには黙ってたんだけど、実は私……ロボなのよ」

妻はそういうと、頭部・胴体・右腕部・左腕部・脚部に分裂した。そのまま空中をしばらく旋回したあと、再び合体して元に戻った。私の記憶は、そこでいったん途切れた。

気がつけば、私は寝室のベッドで仰向けになっていた。妻が、心配そうに私の顔を覗き込んでいる。

「ああ……よかった。急に倒れちゃったから、心配したのよ」

ああ、そうか。何故かはわからないが、私は家に帰ったとたん昏倒してしまったのだろう。最近忙しかったから、疲れがたまっていたのかもしれない。それにしても、妙な夢を見たものだ。ロボはないよなぁ、ロボは。

「それで、私がロボって話なんだけど」

ああ、何事もなかったかのように続けるのはやめてくれないか。私が、何でぶっ倒れたのかもわかっていないのだろうか?昔から妻はちょっとぼんやりしたところがあって、そこがまたかわいいと思っていたものであるが、正直、この状況でそれをやられるとかなりきつい。とりあえず、ここまで来た以上認めるしかあるまい。

「ああ、そうだよね。ロボなんだよね。うん、分裂までされちゃ信じるしかないよね。もう、全ての曖昧な可能性を一瞬で吹き飛ばしてくれたからね」
「でしょ?普通に話しても、きっと信じてくれないと思ったの。大成功ね~」

「大成功ね~」じゃねぇだろ。物事には順序ってものがあるだろ。どんな順序をたどっても結果的に大ショックであることは間違いないが、もうちょっと慈悲の心を持つべきだと、僕は思うな。

「えーと、まあ、そうか。ロボか。オーケー、それはわかったよ」
「わかってくれたのね!嬉しいわ」
「それで、ひとつ気になることがあるんだが……」

私は、ドアの影からこちらを覗きこんでいる幼い娘に、視線をやった。

「君がロボってことは、香織は……」

私たちの子供ではない、ということになるのか。妻は私の言いたいことを察したようだった。

「ああ、大丈夫。あの子は私たちの子よ。最近のロボは、子供も産めるように作られているの」
「そいつは凄いな……。人間とロボットの混血なんてありえるのか。しかし、香織は人間なのか?それともロボット?」

私の当然の疑問に、妻は胸を張って答えた。

「サイボーグよ」
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by rei_ayakawa | 2006-06-24 13:08 | 空想