写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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思い出の中の風景

先日、私が小学生の頃に住んでいた町へ、行く機会があった。

私が今住んでいる所も田舎ではあるが、以前住んでいた場所はさらに田舎であったと言うか、ど田舎であった。それを象徴していたのが、1階建ての小さな駅舎。そして、付随している尋常じゃなく汚いトイレである。いや、汚いと言うより臭い。とにかく、臭かったのだ。

そこから漂う禍々しい香りは、当時の小学生たちにとって恐怖の的だった。私も「ここのトイレにだけは入りたくない。小はまだいいが、大はダメだ。絶対ダメだ」と戦々恐々としていたのである。

そんな思い出に浸りながら、電車に揺られること数十分。私は、懐かしの土地に足を踏み入れた。

一瞬、降りる駅を間違えたのかと思った。

何故って、違うのである。駅が。昔はこぢんまりとした、いかにも「ここは田舎ですよ」といった感じの駅だった。しかし、まず壁がくすんでない。次に、二階建てになっている。そしてなにより、トイレがきれいになっていたのだ。

このときの私の衝撃は計り知れない。思い出の場所が、完全に様相を変えていたのだ。トイレのきれいなこの駅なんてこの駅じゃない。私はあまりの理不尽さに、日本の未来を憂いた。政府は一体なにをやっているのか。景気回復にかまけて、もっと大切なものを忘れてしまったのか。人と人との絆を。重要文化財なんか守っている暇があったら、ここのトイレを守れよ。俺の思い出を返せ!

そう。物事には、欠けてはならないパーツというのが必ずあるのだ。あの町に「臭いトイレ」はなくてはならないものだった。むしろ、あの町が臭いトイレだった。それを失った以上、あの町はもはや臭いトイレではない。ただのトイレだ。凄まじいランクダウンである。ただのトイレになってしまっては、威圧感も何もありはしない。ああ、あの町は死んでしまったのだ。

このような悲劇を二度と繰り返さないためにも、我々は自然保護と同じレベルでトイレ保護を考えなければならない。全てを失ってから嘆いても、遅いのだ。
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by rei_ayakawa | 2006-06-15 16:18 | 日々