写真の子は恥ずかしがりやさんなので、これ以上出てきてくれません。


by rei_ayakawa
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私は当てもなくぶらぶらと道を歩いているうちに、海を一望できる崖の上に辿り着いた。



崖のすぐそばで、二人の少年がサッカーをして遊んでいる。もし落ちてしまったら大変だと思い、少年たちに声をかけた。

「君たち、こんなところでサッカーなんかしていたら危ないよ」

少年たちは同時にこちらを見て答えた。

「危なくなんかないよ」
「危なくなんかないよ」

あまりに綺麗に声が揃っていたので、少し驚いて身を引いた。よく見れば、顔や背格好もそっくりだ。一卵性双生児というやつだろうか。

「危なくないって、こんなところで遊んだら危ないに決まってるじゃないか。落ちてしまうかもしれないよ?」

少年たちは答えた。

「落ちたりなんかしないさ」
「落ちたりなんかしないさ」

これだから子供は困る。自分のやっていることの危険性を全く認識していない、というかする気がない。はてさて、どうするべきか。

「ここは足場が悪いし、風も強い。ボールをとり逃したら崖下に落ちてしまうかもしれない。どちらにしろ、遊ぶに適した場所じゃないと思うよ。せめて、もう少し崖から離れてあぞんだらどうだい?」

少年たちは答えた。

「あぞんだらって……ぷぷっ、どこの田舎もんだよ」
「あぞんだらって……ぷぷっ、どこの田舎もんだよ」

ああ、私の胸は張り裂けそうだ。

私が理路整然と華麗に「ここで遊ぶべきではない」ということを彼らに説いているというのに、彼らの注目は完全に私の滑舌の悪さに向かっている。くそぅ、いいじゃないか。ちょっと発音が変になってしまうことなんて誰にでもあるだろう。

「私が今言っているのは、ここで遊ぶのはやめたほうがいいということなんだ。私が田舎者とか、そんなことはどうでもいいだろ」

少年たちは答えた。

「お前の存在がどうでもいいよ」
「お前の存在がどうでもいいよ」

ああ。

相手がいくら子供とはいえ、初対面でここまで言われるとはおじさん思わなかったよ。血も涙もないね、君たちは。親の顔を見てみた後に原形をとどめないくらい変形させてあげたいよ。あ、そうか。

「でも、こんなところで遊んでいるとお父さんやお母さんに怒られちゃうんじゃないかな?」

これでどうだ。子供にとって親というのは絶対的な権力者。もちろん、これでやめるような子供たちだったらもっと話は楽に進んでいるであろうが、少しは今までと違った反応が返ってくるかもしれない。

「お父さんもお母さんもいないもん……」
「お父さんもお母さんもいないもん……」

こいつはヘヴィだ。

確かに今までと違う反応ではあるが、違いすぎる。と、とりあえずフォローを入れておくか。

「ごめん、悪いこと聞いちゃったみたいだね……」

少年たちは言った。

「悪いのはお前の頭だよ」
「悪いのはお前の頭だよ」
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by rei_ayakawa | 2006-04-13 18:38 | 空想